ライフはホンダのワゴン型軽自動車。本稿では4代目、JB5/JB6/JB7/JB8型ライフの2006年10月マイナーチェンジモデル~を後期型とし、これを扱う。
4代目ホンダ・ライフとは?特徴など
2003年9月登場の4代目ライフ。
先代の可愛らしいイメージを踏襲しつつもボディフォルムを全体的に丸みを帯びさせたワンモーションフォルムとすることで先代よりもひと回り大きくなり、より上品さと可愛らしさがアップしたモデルとなっている。
開発テーマは「ハートフル・テクノロジー」。使う人の心を満たすために安心やおしゃれ、快適、使いやすい、クリーンな新世代の軽自動車を目指して開発された。
エクステリアデザインは「Fun Fun Function」をコンセプトに先進性や機能美を表現。
バンパー下部からフロントピラーまで縦に走るラインなど、ベーシックかつ安心感のあるフロントデザインやダイナミックな弧を描いた躍動感のあるルーフライン。
はみ出しフェンダーや大型マルチリフレクターヘッドライトや大型リアコンビネーションランプ、丸形アウタードアハンドルなどそれまでのライフのイメージとは大きく異る外観とした。
インテリアでは「遊・優・Useful」をコンセプトに明るく居心地の良い空間に機能性や使い勝手、先進技術を盛り込んたデザインを採用。
ベージュとグレーのツートン基調の内装にインパネにはメタリックを採用することで上質なイメージを与えた。
また、4代目ライフではマルチインフォメーションディスプレイを初採用。必要に応じて燃費計やタコメーター、トリップメーターを切り替えて表示するようにした。
インナードアハンドルもアウターと同じく丸形を採用。デザイン性や操作性を両立している。
ボディカラーには新色の「マッチャクレム、、「バニラクレム」、「カラメルクレム」を含む全12色を設定。
パッケージングは室内空間の広さに加えて見た目の美しさを含めたパッケージングを追求。
室内は低床設計により前モデルより30mm高い室内空間を実現。また、高い衝突安全性を確保しながら先代比-90mmのボンネットエリアの縮小を実現。
これにより当時の軽自動車としては最大級のロングホイールベースを実現しつつ、快適な室内空間を両立させた。
ステアリングもコラムカバーをコンパクト化し、ステアリング角度やアクセルペダルの位置調整などにより体格やシートポジションにあわせたドライビングポジションを設定できるようにした。
快適装備としては「助手席チップアップスライド機構」をFグレードに採用。助手席座面をチップアップしてスライドさせることで運転席から後部座席にかけてのサイドウォークスルーを実現した。
これにより子供の世話など運転席から一度降りることなく後部座席へのアクセスを容易にした。
また、運転席アッパーボックス、2段式インパネトレイなど収納スペースも豊富に設定。
ドアも積み降ろしが行いやすい3段階開閉ドアを採用。超薄型カードを携帯していると、ドア及びテールゲートの開錠/施錠、イグニション操作が行えるHondaスマートカードキーシステムをグレード別に採用。
これを選択すると車両盗難防止に効果的なイモビライザーも装備する。
エンジンは新開発のP07A型i-DSIエンジン& i-DSIターボエンジンの2種類を設定。
ショートストローク型で高回転域のフリクションロスを考慮し、燃焼効率が良いi-DSIを採用した。1気筒あたり2本の点火プラグでタイミングをずらして点火することで急速燃焼を実現。ショートストロークでありながら圧縮比を高め低燃費と高出力を両立させた。
トランスミッションは新開発の電子制御式4速ATを採用。プロスマテックとロックアップ機構も採用。
ロックアップは低速域から広く働くようにし、きめ細かく制御することで低燃費に貢献する。また登坂ではプロスマテックにより変速タイミングを最適に制御するようにした。
グレード構成は廉価のC、ベーシックなF、上級のDの3種類。遅れること1ヶ月後の2003年10月にはターボモデルが追加され、それぞれCターボ、Fターボ、Dターボなっていた。
4代目ではデビュー当初、3代目のターボモデルである「ダンク」に相当する独立したネーミングはなかった。
が、2004年12月に特別仕様車として「ディーバ」を追加。以降はカタロググレードへ昇格し5代目にもディーバが継続設定。しばしホンダのスポーティーな軽ワゴンの代名詞として君臨した。
4代目ライフ、後期型の改良点と前期との違い
デビューから3年後となる、2006年10月に4代目ライフは大規模なマイナーチェンジを行った。
後期型ではフロントバンパー、ヘッドライト、リアコンビネーションランプ、ドアハンドルなどエクステリアを一新。より洗練かつスタイリッシュな外観とした。
この他快適装備としてFグレードではセキュリティアラーム、アレルフリー高性能脱臭フィルター、キーレスエントリー1体型キーを標準装備とした。
また、一部グレードでHondaスマートパーキングアシストシステムをメーカーオプション設定とし、バック駐車を容易にした。
さらにマイナーチェンジと同時に特別仕様車、「ハッピーエディション」と「トピック」の2種類を新設定し、内外装や機能性で改良が施されていた。
なお、後期型では一部グレードが統合され、最上級のDグレードはスポーティなディーバへ統合し廃止となっている。
4代目・後期型ライフのグレード C、F、トピック、ハッピーエディション、ディーバ、スペシャルの違いなど
4代目後期型ライフのグレード展開はベーシック「C」、上級「F」、上級ターボ仕様「Fターボ」の3種類。
最上級でDグレード後継のカスタムモデル、ディーバは自然吸気エンジンの「ディーバ」とターボ仕様「ディーバターボ」の2種類設定。
これ以外に特別仕様車には廉価な「トピック」、お買い得仕様「ハッピーエディション」、「スーパートピック」、「ディーバ スペシャル」、「ハッピースペシャル」などが設定されていた。
C
4代目後期ライフのベーシックグレード。上級Fグレードよりも装備が簡略化され価格が抑えられたグレード。
エクステリアにはプライバシーガラス、カラードテールゲートガーニッシュ、電動リモコンカラードミラー、リアワイパーを標準装備。アウタードアハンドルはブラックタイプ。
ドアサッシュブラックアウトやハーフシェイド・フロントウインドウ、電動格納式ドアミラー、ハイマウントストップランプなどは非装備。
インテリアではセパレートシートを採用。タコメーター付きのマルチインフォメーションディスプレイは非装備。
快適装備はマニュアル式エアコンに電波式キーレスエントリーを標準装備。
安全装備は運転席&助手席エアバッグ、EBD付きABS、ISO FIX対応チャイルドシート固定専用バー(リア左右席)、フロント3点式ロードリミッター付プリテンショナー、ELRシートベルト+運転席ラッププリテンショナーなどを標準装備する。
F
4代目後期ライフの上級グレード。
エクステリアではハイマウントストップランプを標準装備し、ドアミラーも電動格納式に変更。足元は13インチホイールキャップ。
インテリアでは助手席チップアップスライド機構付フロントセパレートシートに加え、Dグレードのベンチシートも選択可能。メッキシフトノブボタンを標準装備する。
このほかFグレードではタコメーターに切り替え可能な「マルチインフォメーションディスプレイ」付きのスピードメーターを標準装備。
快適装備は運転席ハイトアジャスターにマニュアル式エアコン。シートバックポケット、コンビニフック。AM/FM/CDオーディオ(AUX端子付き)に4スピーカーを標準装備。
Hondaスマートカードキーシステムとディスチャージヘッドランプをオプション設定。
Fターボ
4代目後期ライフの上級ターボ仕様。
Fグレードの装備に加えてハーフシェイド・フロントウインドウ、フルオートエアコンが標準装備となる。
インテリアカラーはグレー内装を採用。
ディーバ
4代目後期ライフの上級カスタムモデル。ディーバは自然吸気エンジン仕様。
エクステリアではディーバ専用フロントグリル、ヘッドライトガーニッシュ(スモーク)、専用LEDドアミラーウィンカー、ディーバ専用カラードサイドシルガーニッシュ、14インチアルミホイール、ハイマウントストップランプ、ドアサッシュブラックアウトを標準装備。
専用テールゲートスポイラー&フォグライト、ディスチャージヘッドランプはオプション設定。
ボディカラーにはディーバ専用色として「ブラックアメジストパール」と「サンライトイエロー」を設定。
インテリアではグレー内装のみとなり、2段式インパネトレイ、フロントマップランプを標準装備。
快適装備のHondaスマートキーシステム(イモビライザー〈国土交通省認可品〉機能付)とフルオートエアコンはオプション設定。
ディーバについてはこちらから。
ディーバターボ
上記ディーバにターボエンジンを搭載したグレード。
ディーバの装備に加えて専用テールゲートスポイラー&フォグライト、昼夜切り替え式ドアミラー、合皮革巻きステアリング、フルオートエアコンを標準装備する。
ディーバターボについてはこちらから。
特別仕様車 トピック
CグレードをベースにEBD付きABS、リアワイパーなどを非装備とし価格を下げた廉価グレード。
ボディカラーも黒、白、グレー系3色のみの設定だった。
特別仕様車 ハッピーエディション
Fグレードをベースにフルオートエアコンを標準装備しつつ、お買い得としたグレード。
特別仕様車 スーパートピック
CグレードをベースにEBD付きABSとプライバシーガラスを非装備とし、価格を下げたお買い得車。
特別仕様車 ディーバ スペシャル
ディーバをベースにオプション設定のフルオートエアコン、フォグランプを標準装備しつつ、お買い得とした特別仕様車。自然吸気エンジン仕様のみ。
特別仕様車 ハッピースペシャル
Fグレードにオプション設定のフルオートエアコン、Hondaスマートキーシステム、AM/FMチューナー付CDプレーヤー、ハーフシェイド・フロントウインドウ、ドアミラーウインカーを標準装備としつつ、お買い得とした特別仕様車。
エクステリア
フロントデザイン。4代目ライフ最大の特徴である愛嬌あるフロントデザインはこのマイナーチェンジで少し変更となり、前期型よりもヘッドライトの切り込みが鋭角に。
これによりエレガントで少し上品な顔つきとなった。それでいて可愛らしいキャラクターは保持しているので、順当なマイナーチェンジといえよう。他にフロントはバンパーもデザインが変更されている。
なお、後期型ではフロントバンパーのナンバープレートの位置が中央から左寄りへオフセットされた。
サイドから。
後期型ではドアノブのデザインが少し変更されている。
足元は引き続き13インチで、 タイヤサイズは155/65R13。前期には最上級のDグレードにアルミホイールが標準装備だったが、後期型ではDグレードを廃止。
すべてスチールホイールにホイールキャップの組み合わせとなった(アルミホイールは非設定)。
リア。ここは大きな変更点で、後期型ではコンビランプがマルチリフレクター化されている。
前期までは曇った古臭いデザインだったのでかなり新鮮に見える。ただしインナーにメッキを使っていないのでそこまでキラキラ感は無い。必要であれば社外品に交換すると良いだろう。
後期型ではライフの車名エンブレムが「LiFE」から「Life」へ変更。かつエンブレムの位置も右側から左側へ移動している。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはP07A型直列3気筒SOHC自然吸気エンジンと同インタークーラー付ターボエンジンの2種類。
後期型ではエンジンまわりの改良点は特に無く、前期と同じ。自然吸気エンジンでは最高出力52ps(38kW)/6700rpm、最大トルクは6.2kg・m(61N・m)/3800rpm。
ターボエンジンでは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルクは9.5kg・m(93N・m)/4000rpm。
トランスミッションは全グレードで4ATのみとなる(※前期ではCターボ、Fターボ、Dターボという風に全グレードにターボ仕様があったが、後期型ではFターボのみとなった)。
先代の3AT時代にあった高速走行時のエンジンの静粛性が改善された一方でMTが廃止されるなどメカニズムでもメインターゲットを女性としていた点が伺える。駆動方式はFFまたは4WDの2種類。
安全装備としてABSをFFモデルを含めた全グレードに標準装備。
当時は4WDモデルにはABSが標準装備となることが多かったが、廉価グレードでも4代目ライフはABSを標準装備とし、安全装備をうたっていた。
4代目ライフ JB5型/JB6型/JB7型/JB8型との違い
4代目ライフのJB5、JB6、JB7、JB8型のそれぞれの違いは駆動方式と自然吸気エンジンまたはターボエンジンの違いにある。
まず、2駆のFFモデルはJB5とJB7、4WDのモデルはJB6とJB8である。
さらに自然吸気エンジンはこのうちJB5とJB6、ターボエンジンはJB7とJB8型。
つまりJB5はFFの自然吸気エンジンモデル。JB7は4WDの自然吸気エンジンモデル。
JB7はFFのターボエンジン仕様。JB8は4WDのターボエンジン仕様となる。
インテリア
インパネ。特に大きな変更はなく、運転席には前期型と同じくアナログ&デジタルのハイブリッドメーターを備える。
このマイナーチェンジでメーカーオプションだが駐車時に役に立つ「スマートパーキングアシスト・システム」が追加された。
ステアリングはウレタンスプリング。廉価グレードではブラックのモノートンステアリング。それ以外ではシルバーを組み合わせたツートンカラーステアリングとなる。
エアコンはCグレードとトピックグレードがマニュアル式エアコン。Fグレード以上でオートエアコンとなる。
4代目の特徴のひとつであるハイブリッドスピードメーター。
右側はスピードメーター用のアナログ、左側は走行距離や燃料、ターボ仕様ではタコメーターなどを任意に切り替えて表示するデジタルメーターとなっており他のメーカーには見られない珍しいデザインとなっている。
このハイブリッドメーターは4代目後期、5代目前期まで採用され、しばらくの間ライフのアイデンティティでもあった。
フロントはセパレートタイプ。Fグレードには「助手席チップアップスライド機構」を搭載し、チルトアップで助手席を前へスライドさせれば後部座席のアクセスを容易に可能とした。
リアの足元は広い。
ラゲッジスペース。荷室はそこそこ広め。
リアシートを倒した状態。
まとめ
4代目の後期型ライフはより洗練されたエクステリアに快適装備の追加など前期よりもスタイリッシュとなった点が特徴である。
特にリアのテールランプのデザインが洗練され見た目も良くなったため、中古車として古臭さがなく十分通用するデザインがポイントである。
それ以外は前期と同じでおしゃれなドアハンドル、スピードメーター、インパネなど質感も高いため特に女性ウケが良いモデルである。
中古市場では現行がN-WGNやN-BOXなどのNシリーズに完全移行した点と、一番新しいモデルでも15年落ち以上となるため走行距離の割にかなり安価な中古車となっている。そして4代目ライフはかなり売れたモデルなのでタマ数も豊富。
年数経過による経年劣化など低走行でも考慮すべき点はあるが、地方の安価な軽の足車としてかなり魅力的なモデルである。
コメント