ライフはホンダのワゴン型軽自動車。本稿では5代目・JC1およびJC2系のデビュー当初である2008年11月~2011年7月までを前期型とし、これを扱う。
概要
2008年11月にフルモデルチェンジし5代目となったホンダ・ライフ。
5代目ライフでは「デイリー・スマイル・テクノロジー」をコンセプトに生活の中で実感できる運転のしやすさと使い勝手の良さを追求した。
特に楽な運転を実現するために大きなウィンドウや細いピラーの採用による360度良好視界の採用や軽乗用車としては初となるバックモニター付きオーディオを廉価グレードを除いて全車標準。
また、「パステル」には駐車時の前後進を自動操舵とした進化型Hondaスマートパーキングアシストシステムをオプション設定するなど駐車時の利便性を向上させている。
室内空間は4代目と比較して室内長が1805mmから2005mmに。室内幅は1275mmから1295mm。
室内高は1285mmから1315mmとそれぞれ拡大し、大人4人がゆったりできる空間を確保。乗降性と運転視界を両立させた運転席着座位置を設定した。
さらにリアシートは快適性をアップさせるためサイズと厚みを拡大。それまでのライフに比べて後部座席がテコ入れされている。
メカニズムでは先代に引き続きP07A型の3気筒エンジンを採用。自然吸気エンジンのほか、スポーティーなディーバやカジュアル系のパステルではターボエンジンが設定される。
また、運転席には世界初となる運転席用i-SRSエアバッグシステムを全グレードで標準装備としフルモデルチェンジにふさわしい安全性能の向上を果たした。
モデル構成は、それまでノーマルとスポーティーなディーバの2本立てだったが、今回のモデルからノーマルタイプを「G」、スポーツタイプを先代と同じく「ディーバ」、そして上品でおしゃれな「パステル」の3本立てとした。
それまでライフのノーマルタイプというとスポーティーなディーバに対してかわいらしいデザインが特徴で、女性ユーザーを意識したものだった。
それが今回の5代目よりかわいらしいデザインはパステルに移行してノーマルタイプはベーシック感を強めたデザインとなっている。
5代目ライフ JC1とJC2との違い
5代目ライフのJC1型とJC2型との違いは駆動方式。JC1はエンジンを前に配置し、前輪を駆動するFFの5代目ライフ。JC2はJC1をベースに全輪を駆動する4WDの5代目ライフ。
4WDのシステムには街乗りに最適なビスカスカップリングを用いたオンデマンド式の4WD(リアルタイム4WD)が採用される。
普段はFFで駆動し、滑りやすい路面になると自動的に4WDに切り替わるためジムニーやパジェロミニなどのパートタイム4WDに比べるととても扱いやすい特徴がある。
前期型・5代目ライフのグレード C、G、Gコンフォートセレクト、パステル、パステルターボ、ディーバの違いなど
5代目前期ライフのグレード展開はノーマルタイプで廉価グレード「C」とミドルグレード「G」、快適装備追加の「Gコンフォートセレクト」、
オシャレでエレガントな「パステル」、同ターボ仕様の「パステルターボ」、
カスタムモデルの「ディーバ」と同ターボ仕様「ディーバターボ」、機能装備追加の「ディーバクールセレクト」、「ディーバターボクールセレクト」の9種類。
これ以外に特別仕様車が3種類設定されていた。
カスタムモデルのディーバについてはこちらから。
C
5代目前期ライフの廉価グレード。Gグレードよりも装備が簡素で、その分価格が抑えられた安いグレード。
Gグレードに比較して手動ドアミラー、樹脂タイプアウタードアハンドル、スチールホイールで軽バンのような簡素な外観が特徴。
快適装備は高熱線吸収/UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア・リアクォーター・テールゲート)が非装備。キーレスエントリーは標準装備。安全装備のEDB付きABSはオプション設定だった。
ボディカラーは白(タフタホワイト)、銀(アラバスターシルバー・メタリック)、黒(ナイトホークブラック・パール)の3色のみの設定。
G
5代目前期ライフ・ノーマルタイプのミドルグレード。
エクステリアではカラード電動格納ミラーにカラードアウタードアハンドル、ホイールキャップで見た目が良くなる。
インテリアにはバックモニター付きAM/FMチューナー付きCDプレイヤーを標準装備する。
快適装備はキーフリーシステムやプッシュエンジンスタート、セキュリティアラーム、高熱線吸収/UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア・リアクォーター・テールゲート)、ホイールキャップ、EDB付きABSを標準装備する。
ボディカラーはCグレードよりも多く、全8色を設定。
Gコンフォートセレクト
5代目前期ライフ・ノーマルタイプの上級グレード。
Gグレードに追加で快適装備や機能装備をプラスしたグレードで、使い勝手などが良くなる。
コンフォートセレクトではインテリアにクロームメッキ&シフトノブボタンとシルバーリフトパネルを標準装備。
快適装備ではフルオートエアコン、アレルフリー高性能脱臭フィルター、運転席ハイトアジャスターやチルトスステアリング、フロントアームレストなどを標準装備する。
パステル
5代目前期ライフのエレガントな上級グレード。ノーマルタイプよりもファッション性を高めていた。
エクステリアにはパステル用ヘッドライト、メッキグリル、バンパー、パステルエンブレムで標準モデルと差別化。より親しみやすい上品なファニーフェイスとした。
ヘッドライトはマルチリフレクター式のディスチャージヘッドランプをオプション設定。
インテリアではパステル専用のピアノブラックのセンターガーニッシュ、インパネシフトもシルバーガーニッシュ付き、スピードメーターはホワイトタイプで上級感をプラス。
快適装備はフルオートエアコン、フロントアームレスト、リアルームランプ、バニティミラー付きサンバイザー(運転席)、スライド式センターポケット、ハーフシェイド・フロントウインドウを標準装備。
安全装備ではセキュリティアラーム、イモビライザーも標準装備となる。
パステルターボ
上記パステルにターボエンジンを搭載したパステル・最上級グレード。
パステルターボではホイールキャップが13インチアルミホイールに変更され、ボンネットにはエアダクトも備わる。
特別仕様車 HIDスマートスペシャル
2009年6月設定の特別仕様車。
パステルとパステルターボをベースに「親水/ヒーテッドドアミラー&フロントドア撥水ガラス」、「チルトステアリング」などの快適装備の標準装備としつつ、お買い得としたモデル。
特別仕様車 コンフォートスペシャル
2010年5月設定の特別仕様車。廉価グレードのCグレードをベースに快適装備をプラスしつつ、お買い得とした特別モデル。
コンフォートスペシャルではCグレードにオプション設定の「EBD(電子制御制動力配分システム)付ABS+ブレーキアシスト」、Cグレードに非設定の「UVカット機能付プライバシーガラス」と「フロントシートアームレスト」などを特別装備。
この追加セットでベースから5万円アップの価格上昇に抑え、FFモデルであれば100万円以下で新車購入可能としたコンフォートなモデルだった。
エクステリア
フロントデザイン。先代までは斜めの切り込みが特徴のヘッドライトだったが、5代目ではこれに縦方向に厚みを持たせボリューム感を出している。
さらにヘッドライト内部をインナーダークグレーとすることで先代とは印象を変えてきた。なおパステルではインナーダークグレーとはならず従来型のメッキタイプだ。
全体的にはかわいらしさが薄れ、その分ベーシック感が増した感じだ。これだと先代モデルよりは男性ユーザーも乗れそうなデザインだろうか。
サイドから。ボディも全高がアップし室内空間が広くなった。全体的なシルエットは先代に近いがよく見ると4代目よりも高さが増え居住性がアップしている。
足元は13インチスチール+フルホイールキャップ(※Cグレードはホイールキャップ無し)で、タイヤサイズは155/65R13。アルミホイールは非設定。
リア。先代では縦長のコンビランプだったが5代目ではコンパクトに中央部に配置。ムーヴよりもワゴンRに近くなった感じだろうか。
なお、リアのコンビランプはメッキタイプの社外品がリリースされており交換も可能だ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3気筒のNAのみ。パステルとディーバにはターボ仕様が設定されたが、ベーシックなノーマルタイプでは自然吸気のみである。
P07A型酷烈3気筒SOHC自然吸気エンジンの最高出力は52ps(38kW)/6000rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。
トランスミッションは4ATのみで駆動方式はFFまたは4WD。
安全装備として運転席エアバッグと助手席エアバッグを標準装備。ABSはGグレード以上に標準装備で、Cグレードではオプション設定となっていた。
インテリア
インパネ。先代にはなかった助手席側ダッシュボード上のスペースが特徴的だ。
5代目の標準ライフではブラックとベージュの2トーンカラーで上下を分け、運転席側は太めに。助手席側に流れるようなアーチを設けシンプルながら洗練されたデザインを持たせている。
ステアリングはウレタンステアリング。
スピードメーター。先代から引き継ぎデジタルとアナログのハイブリッドメーターを採用。ただし先代の2眼タイプから1眼タイプに変更されよりスッキリとした感じだ。タコメーターは無い。
ATのシフトノブ。先代と同じくインパネシフトを採用。
エアコンはCグレード、Gグレードともにマニュアル式エアコンとなる。
フロントシートはベンチシートタイプ。先代よりもボリュームが増しシートの出来が良くなっている。
リアシート。足元は広い。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。なお、シートはフルフラットととならずこのように大きな段差が残る。リアシートの乗り心地はいいモノのこの部分は犠牲になっている。フルフラットで荷物を積もうと考えている人は要注意。
まとめ
5代目前期ライフの総評
5代目ライフのGというグレードは先代のノーマルタイプのイメージを変え、よりベーシックな軽自動車になった。
これまでの女性ユーザー中心のデザインからの変更はライバルのムーヴやワゴンRを意識してのグレード展開だったかもしれない。5代目ライフではパステルという形で女性向けモデルは継続設定し、幅広いユーザーを狙えるようになった。
なお、後期モデルではフロントデザインを大幅変更。カスタムモデル・ディーバ用ヘッドライトやグリルの標準装備化でよりスタイリッシュかつ個性的なデザインとなる。
JC1/JC2ライフは中古市場で豊富なタマ数&割安で安価なモデル 故障も少なく足車にオススメ
中古車としては後継車としてN-WGNに移行していることもあり、その先代となる5代目ライフは年式や走行距離の割に安価となっている。
同年代のワゴンRやムーヴよりも安く、中古価格としてはかなり魅力的な車種だ。その一方で室内空間は2車に若干劣るため広さを重視するユーザーはこの点を注意されたい。
ミッションも4ATのみで古い感じもするが中古の価格的なアドバンテージ、ダイハツのKF型エンジン搭載モデルのような不具合もほとんど無いので、5代目(JC1/JC2型)ライフは安くて壊れにくい生活の足として魅力的なモデルである。
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