ハイゼットカーゴはダイハツの商用軽ワンボックス。ハイゼットカーゴ デッキバンはその架装車である。本稿では4代目の後期型であるS321WおよびS331W系のデッキバンに設定された特別仕様車「G リミテッド」を扱う。
出典:Goo-net
4代目 ハイゼットカーゴ・デッキバンとは?
ダイハツの商用軽ワンボックスであるハイゼットカーゴをベースに、後部の荷室天井部分を大胆にカットし軽トラのような荷台にしたのがハイゼットカーゴデッキバン。
古くは1988年登場の7代目S80WおよびS82Wハイゼット時代に登場し、今日の20年以上続くロングセラーモデルとなっている。
元々は冷蔵庫を電器店で立てに積めるようにと当時の松下電器(現:パナソニック)との共同開発されたところからはじまった。
その4代目であるS320系は2004年にデビュー。新規格ボディの10代目ハイゼットカーゴをベースとすることで先代よりも荷室が拡大したのが大きな特徴であった。
4代目デッキバン・中期モデル1(S321W/S331W)の改良点と前期型(S320W/S330W)との違い
2007年にはハイゼットカーゴと同様のマイナーチェンジが行われフロントバンパーのデザイン変更とKF-VE型エンジンへの換装が行われた。
さらに2015年4月には電子制御式4ATを。全グレードで電子制御スロットルを採用したことで燃費が向上。FFのATモデルで平成27年度燃費基準+5%をFFの5MTモデルでは平成27年度燃費基準を達成した。
デッキバンの特徴とハイゼットカーゴS321G/S331G、トラックとの違い
ハイゼットカーゴデッキバンは軽バンのハイゼットカーゴと、軽トラのハイゼットトラックを足して荷で割ったようなパッケージが特徴である。
独立したリアシートにスライドドアを持ちながら、ラゲッジスペースのみトラックと同じ荷台とすることで、多様な使い勝手を可能とした軽バンとなっている。
その一方で軽バンと比べると室内のラゲッジスペースが狭く、ラゲッジスペースの荷台も軽トラよりは狭いため、中途半端な部分もある。ハイゼットカーゴやハイゼットトラックでは積めた長物が積めない場合もあるためその点は注意が必要だ。
エンジンやトランスミッションはハイゼットカーゴとまったく同じで、クルーズターボのようなターボ仕様は非設定。
ボディカラーはホワイトやブライトシルバーメタリックのほか、ブラックマイカメタリックに加え、Gリミテッドではトニコオレンジメタリック、ブルーマイカメタリック、オフビートカーキメタリックなどカラフルなボディカラーが設定される。
デッキバン Gリミテッドとは?特別装備とノーマルとの違い
4代目中期型マイナーチェンジ後の2015年4月に設定された特別仕様車が「ハイゼットカーゴ デッキバンG リミテッド」である。
GリミテッドではデッキバンGをベースに
- 専用フロントメッキグリル
- トップシェイドガラス
でスタイリッシュな外観が与えられ、それまでデッキバンにはなかった新色のボディカラー、「トニコオレンジメタリック」等が設定された。
内装でもインパネの「センタークラスターをシルバー塗装」。「スピードメーターもシルバー仕様」に変更しワンポイントでスタイリッシュとした。
安全装備としてベースモデルではオプション設定だった、「EBD機能付ABS」を標準装備。加えてボディ外板(荷台部を除く)の表面サビ3年・穴あきサビ5年にそれぞれ延長した「長期サビ保証」もつけた。
Gリミテッドは軽バンでありながら、カラフルなボディカラーと豪華な内外装が特徴の特別仕様車となっていた。
エクステリア(外装)
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フロントデザイン。リミテッド用としてメッキグリルを装着。商用モデル感の強いハイゼットカーゴの顔に大型メッキグリルが加わったことで精悍なイメージが出ている。
味気ない商用軽ワンボックスでこの部分は大きい。これに加えフロントガラスはブルーのトップシェイドガラスとなり、乗用車のような装備で見た目が良くなるのと同時に日差しを和らげたり赤外線・遮熱性をカットする機能もある優れもの。
コストカット優先となりがちな商用モデルベースとしては豪華な設定だ。
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サイドから。このあたりは特に変更点は無い。Gリミテッドの専用ボディカラーとして新たに「ブルーマイカメタリック」、「トニコオレンジメタリック」、「オフビートカーキメタリック」の3色を追加しブラックマイカメタリック、ブライトシルバーメタリック、ホワイトの計6色を設定。
これ以外にボディ外板表面サビ保証3年、ボディ外板穴あきサビ保証5年にそれぞれ延長する。
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リアのドアはハイゼットカーゴ同様にスライド式(非電動)。
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リアの荷台はデッキバン最大の特徴ともいうべき外観となっている。足元は12インチスチールホイール+ホイールキャップ。
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後ろからはハイゼットカーゴを無理やりぶった切ったようなデザイン。コンビランプはハイゼットカーゴと同じもの。
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荷台はこのように開閉し荷物も積み込みやすい。
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軽トラにはさすがに敵わないがそこそこの広さの荷台スペースを備える。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3気筒の自然吸気エンジンのみ。2015年4月の一部改良でエンジンに改良が加えられ、中期型当初よりも自然吸気エンジンの圧縮比向上が図られ出力と燃費がアップ。
自然吸気エンジンのAT仕様の最高出力は53ps(39kW)/7200rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
自然吸気エンジンのMTモデルでは最高出力は46ps(34kW)/5700rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
トランスミッションは4ATまたは5MTで駆動方式はFRまたはパートタイム4WDの2種類。安全装備として運転席&助手席エアバッグにGリミテッド仕様としてEBD付きABSも標準装備する。
S321WとS331W型との違い
S321WとS331Wの違いは駆動方式。S321Wは後輪を駆動する2WD(FR)のハイゼットカーゴデッキバン。
S331WはS321W型ベースで全輪を駆動する4WDのハイゼットカーゴデッキバン。S331Wの4WDシステムにはパートタイム4WDが採用されており、運転者が任意に切り替えることで普段は燃費の良いFR。いざという時は4WDという使い方ができる。
ただしジムニーやパジェロミニ同様に舗装路などの急カーブや駐車場での駐車時にタイトコーナーブレーキ現象が起きやすく、扱いには注意が必要だ。
インテリア(内装)
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インパネ。商用モデルのハイゼットカーゴと同じデザインだがハイゼットカーゴのゴールドエディション同様にインストルパネル等がシルバー塗装され若干スタイリッシュになっている。
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スピードメーターはノーマルと共通。
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フロントシートはセパレートタイプ。シートそのものはクルーズターボ等のサイトサポートが付いたシートと同じヘッドレスト分離タイプ。
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リアシート。シートは商用モデルの簡易的なものだが
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リアシートを倒すとフルフラットとなり、雨に濡れると困る荷物はリアに収納できるようになっている。室内が汚れると困るものは外の荷台へ。保護したいものは室内へといった使い分けがデッキバンのいいところ。
まとめ
4代目のハイゼットデッキバンG リミテッドはベーシックだったハイゼット デッキバンに専用メッキグリルとトップシェイドガラスを標準装備し、見た目を向上させた特別仕様車である。
ベースがハイゼットカーゴだっただけに乗用モデルでありながら商用感が強いデッキバンだったが、メッキグリルによりその印象が改善されておりこの点は評価できるポイントだ。
仕事以外にも荷台を有効活用したレジャーなどに有用なモデルである。なお、スバルのサンバーバンへのOEM供給に伴いデッキバンも「サンバーバン オープンデッキ」として供給されているが、この特別仕様車の設定は無い。
コメント
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FFではなくFRではないでしょうか。
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ご指摘ありがとうございます。
ハイゼットカーゴはハイゼットトラックと同じく2WDはFRでしたね。早速訂正いたします。