ハイゼットカーゴはダイハツの商用ワンボックス型軽自動車。本稿では10代目S321VおよびS331V型の2007年12月マイナーチェンジ~2017年10月までを中期型とし、これを扱う。
出典:ダイハツ認定中古車
- 10代目 ダイハツ・ハイゼットカーゴとは?
- ハイゼットカーゴのグレード構成、スペシャル、スペシャルクリーン、デラックス、クルーズ、クルーズターボ、リミテッド、55thアニバーサリーゴールドエディションの違い
- 10代目ハイゼットカーゴ中期型(S321V/S331V)と前期(S320V/S330V)の違い
- ハイゼットカーゴ(S321V/S331V)とアトレーワゴン(S321W/S331W)の違い
- 10代目・中期ハイゼットカーゴのエクステリア(外装)
- エンジン・機能装備など
- ハイゼットカーゴ クルーズターボとクルーズ、デラックス、スペシャルの最大積載量について
- ハイゼットカーゴ S321VとS331Vの違い
- 10代目ハイゼットカーゴS321V/S331Vの持病や不具合、故障しやすい箇所
- 10代目・中期ハイゼットカーゴのインテリア(内装)
- 10代目中期ハイゼットカーゴの評価
- 10代目・中期ハイゼットカーゴの中古車はモノによっては割安で買いやすい…?
10代目 ダイハツ・ハイゼットカーゴとは?
2004年12月にフルモデルチェンジし、10代目となったダイハツ・ハイゼットカーゴ。トラックのハイゼットトラックはフルモデルチェンジとならず、大幅改良での登場となった。
節目となる10代目のハイゼットのコンセプトは「しっかり、楽々仕事ができる高効率カーゴ」。
積載性、荷役性、乗降性の大幅向上により宅配や小売、自営業など幅広い業種での販路拡大を狙うものだった。
10代目ハイゼットカーゴは、同年代のライバル、スズキ・エブリイと同じようにボディを大型化し、よりスクエアなスタイリングで室内空間を広げているのが大きな特徴だ。
さらにエブリイ同様にそれまでのテールゲートにあったテールランプをバンパー下部へ移動し開口部を拡大。リアゲートからの荷物の積み下ろしの利便性を向上させている。
10代目ハイゼットカーゴ・中期型のエクステリア概要
エクステリアは先代のイメージを持たせつつも大型マルチリフレクターヘッドライトや横長テールランプの採用で新世代の雰囲気を演出。ベーシックでありながらスタイリッシュなデザインとした。
10代目ハイゼットカーゴのパッケージング
ボディスタイルはセミキャブオーバーレイアウトを採用し、荷室長は1,860mm、荷室幅は1,375、荷室高は1,235mmを確保。
また、10代目からはテールランプをリアバンパーに移動し開口部を1,335mmに拡大。低床荷室フロアと相まって高い荷役性を実現した。
またボディの約75%以上に亜鉛メッキ合金を用いた防錆鋼板を採用。加えてステンレス製マフラーを標準採用したことにより先代モデルのカーゴ(S200V/S210V)に対し、防錆性能が強化。特に雪国など塩カリの被害がある地域では嬉しい仕様だ。
出典:ダイハツ認定中古車
ハイゼットカーゴのボディカラー設定
ボディカラーはオフホワイト、ブルーマイカメタリック、ブラックマイカ、ファインシルバーメタリックの全4色を設定。
10代目ハイゼットカーゴのインテリア概要
インテリアではインパネデザインを刷新し、スイッチ類を運転席まわりに集中配置。より扱いやすさを向上させた。
また、便利な収納スペース(大型グローブボックス、大型アンダーボックス、大型インパネアッパーポケット)も新設定し利便性も向上させた。
さらにインパネそのものもコンパクトにし、ハイゼットカーゴ初のインパネシフトの採用やシートスライド量を増加させたことで快適な室内空間とした。
10代目ハイゼットカーゴのエンジン・快適装備・安全装備概要
エンジンは先代からキャリーオーバーとなる3気筒OHCエンジンのEF-SE型エンジンと3気筒ツインカム連続可変バルブタイミング機構のEF-VE型、3気筒ツインカムターボのEF-DET型の計3種類を設定。
トランスミッションは5MTと3AT、4ATの3種類を設定する。
2450mmのロングホイールベースに4.2mの最小回転半径、サスペンションには3リンク・リヤコイルスプリングの採用で高い走行安定性と快適な乗り心地、街中での取り回しの良さを両立させている。
快適装備としてはエアコンと集中ドアロックを全グレードに標準装備。
安全装備としてはグレード別に運転席エアバッグ、助手席エアバッグ、EBD付きABSを設定した。
ハイゼットカーゴのグレード構成、スペシャル、スペシャルクリーン、デラックス、クルーズ、クルーズターボ、リミテッド、55thアニバーサリーゴールドエディションの違い
10代目中期ハイゼットカーゴのグレード構成は下から順番に廉価「スペシャル」、ミドル「デラックス」、上級「クルーズ」、上級ターボ仕様「クルーズターボ」の4種類。
これ以外に特別仕様車として「リミテッド」、「55thアニバーサリーゴールドエディション」などが設定されていた。
最新モデル(現行モデル)についてはこちらから。
ハイゼットカーゴ・スペシャル
スペシャルは廉価グレード。最も装備が簡略化されたグレード。
キーレスエントリー、パワーステアリング、パワーウィンドウ、プライバシーガラス、運転席&助手席エアバッグ(※2005年10月一部改良以降は全グレード標準装備化)、ABSなどがレス仕様となる。
また、ボディカラーもホワイト一色のみでドアミラーは樹脂タイプの手動ミラーとなる。
ハイゼットカーゴ・クリーン
スペシャルクリーンはスペシャルをベースとした環境対応車で、クリーンエンジンを搭載。自動車重量税が免税されるエコカー減税やグリーン税制に特化させたグレード。
装備は上記のスペシャルと同じ。
ハイゼットカーゴ・2シーター
2シーターはスペシャルもしくはスペシャルクリーンをベースとした2名限定乗車の2シーター仕様車。
リアシートを完全撤退しフルフラット化し荷物運搬に特化させたグレード。2シータにはスペシャルにはないハイルーフの設定がある。
ハイゼットカーゴ・DX(デラックス)
デラックス(DX)はミドルグレード。
スペシャルに対してキーレスエントリー、パワーステアリング、パワーウィンドウ、運転席エアバッグ、プライバシーガラスが標準装備となる。
ただし助手席エアバッグとEBD付きABSはオプション設定。ボディカラーも増えてホワイト、ファインシルバー、ブルーマイカメタリック(※中期型ではブラック)の3色。
ハイゼットカーゴ・クルーズ&クルーズターボ
クルーズとクルーズターボは上級グレード。
デラックスの装備に対して助手席エアバッグやEBD付きABS、ボディカラー同色電動格納ミラーが標準装備となり、ボディカラーもブラックマイカが選択可で全4色(※ただし中期型以降はブルーマイカメタリックが消滅で全3色)。
フロントシートとリアシートがアトレーワゴンと同じヘッドレスト分離型の上級シートとなり、快適性が向上する。
さらにクルーズターボではハイゼットカーゴ唯一のターボ仕様となり、ATもクルーズターボのみ3ATでなく4ATが採用される。
なお、クルーズターボのみ最大積載量が200kgとなるため、Amazonフレックスなど個人契約の配送業務などで使う場合は注意が必要。
特別仕様車 リミテッド
リミテッドの特別装備
2014年12月設定の特別仕様車。専用ボディカラーと防錆性能、メッキグリルなどを追加した特別モデル。
出典:ダイハツ認定中古車
「リミテッド」は廉価グレード「スペシャル」以外の「デラックス」、「クルーズ」、「クルーズターボ」の3種類をベースに内外装で以下を特別装備。
- メッキフロントグリル(※クルーズ、クルーズターボのみ)
- トップシェイドガラス(ブルー)を設定
- シルバーメーター&センタークラスター
- 撥水加工を施したフルファブリックシートを全席に採用
- シート表皮とドアトリムをブラック色に変更
ボディカラーは
- ブルーマイカメタリック (新設定)
- トニコオレンジメタリック (新設定)
- オフビートカーキメタリック (新設定)
- ブラックマイカメタリック
- ブライトシルバーメタリック
- ホワイト
- パールホワイトIII[※有料色でデラックス除く]
の全7色のボディカラー展開
このほか機能装備として「荷室LEDランプ」をクルーズとクルーズターボに標準装備。ABSは全グレードに標準装備。
「ボディ外板表面サビ保証3年」、「ボディ外板穴あきサビ保証5年」にそれぞれ延長し内外装や機能装備で魅力を高めた特別仕様車となっていた。
2016年10月・リミテッド再設定時の追加装備や変更点など
2016年10月に再設定された際には一部装備やボディカラーが追加となり、
「ブラックフェイスプレート付インテグレート CD・AM/FM ラジオ・AUX 端子」が追加となり、ゴールドエディションと同じボディカラーの
- アーバンナイトブルークリスタルメタリック(特別設定)
- マスカットグリーンメタリック(特別設定)
- ミストブルーマイカメタリック(特別設定)
- トニコオレンジメタリック
- ブラックマイカメタリック
- ブライトシルバーメタリック
- ホワイト
- パールホワイトIII[※有料色でデラックス除く]
となるなど、特別装備がバージョンアップされた。
特別仕様車 55thアニバーサリーゴールドエディション
2015年11月設定の特別仕様車。ハイゼットカーゴの誕生55周年を記念した特別モデル。
出典:埼玉ダイハツ
ゴールドエディションのエクステリアは
・専用 Anniversary エンブレム(フロントドア&バックドア)
・専用ゴールドメッキフロントグリル (※クルーズ、クルーズターボのみ)
・トップシェイドガラス (※デラックスのみ クルーズとクルーズターボは既装備)
ボディカラーはゴールドエディションに特別設定の専用車体色を含めた
- アーバンナイトブルークリスタルメタリック(特別設定)
- マスカットグリーンメタリック(特別設定)
- ミストブルーマイカメタリック(特別設定)
- トニコオレンジメタリック
- ブラックマイカメタリック
- ブライトシルバーメタリック
- パールホワイトIII [※有料色でデラックス除く]
- ホワイト
の全8色を設定。商用車にしては異例の豊富なボディカラーとした。
出典:埼玉ダイハツ
インテリアでは
- 専用ゴールドフェイスプレート付インテグレート CD・AM/FM ラジオ・AUX 端子
&16cm スピーカー (※クルーズ、クルーズターボのみ) - シルバーメーター&センタークラスター
- フルファブリック表皮(ブラック撥水加工)
- ドアトリムパッドウェルダー(ブラック)
- 荷室LEDランプ (※クルーズ、クルーズターボのみ)
安全装備や機能装備は
- EBD付きABS (本来はオプション設定)
- 特別防錆保証(ボディ外板表面3年、ボディ外板穴あき5年)
を標準装備化。内外装や機能面で特別感を高めたモデル。
10代目ハイゼットカーゴ中期型(S321V/S331V)と前期(S320V/S330V)の違い
2007年12月マイナーチェンジ(中期型)の改良点
その10代目ハイゼットカーゴは2007年12月のマイナーチェンジで中期型に移行。
中期型では全グレードで新開発のKF型ツインカムエンジン(可変バルブタイミング機構付き)を搭載し、燃費やパワー、排ガスや走行性能をアップ。
これにより型式がS320VからS321Vへ。S330VからS331V型へ変更となった。
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザインは新バンパーの採用でワイド感や安定感のある顔つきに変化。
出典:ダイハツ認定中古車
インテリアではステアリングホイールのデザインを3本タイプへ変更。さらにインテリアカラーも明るいグレー調に変更した。
安全装備としてクルーズとクルーズターボにリヤ3点式ELRシートベルト(チャイルドシート固定機構付)を標準装備。
ボディカラーは一部名称が変更となり、ファインシルバーメタリックがブライトシルバーメタリックに。
快適装備としてスペシャル、スペシャルクリーン、デラックスにAM/FMラジオを標準装備した(※運転席&助手席エアバッグは2005年10月一部改良時に全グレードに標準装備化)。
そのため、S320V/S330VとS321V/S331V型とでは前期、中期と判別ができ搭載エンジンとフロントバンパー、ステアリングホイールのデザイン、インテリアカラーなどが異なる。
2010年8月の一部改良について
2010年8月の一部改良では排ガス基準をJC08コールドモードに対応。2WD・NAの3速AT車はCNG車を除きそれまでの3ATを廃止。全車4速AT化したことにより燃費が向上。「平成22年度燃費基準+10%」を達成した。
さらに「クルーズ」とクルーズターボにはトップシェイドガラスやメッキステアリングオーナメントが標準装備化。ボディカラーに「パールホワイトⅢ」がオプションカラーとして追加された。
2011年12月一部改良について
2011年12月一部改良では4WD車のテールゲートの「4WD」ロゴのデカール貼付を廃止。ボディカラーも「オフホワイト」を廃止。
入れ替えで「ホワイト」が新設定された。さらにこの時にトヨタへ「ピシクバン」としてOEM供給開始。
2012年12月一部改良について
2012年12月の一部改良ではJC08モード燃費に対応。「クルーズターボ」を除くFF・4AT車及び「クルーズ」の4WD・4AT車は平成27年度燃費基準を達成。
2015年4月一部改良について
2015年4月の一部改良ではATに電子制御式4ATを採用。さらに電子制御スロットルを採用したことで燃費を向上させた。
インパネはオーディオ収納スペースをそれまでの横幅180mmから200mmに変更。クルーズとクルーズターボのトップシェードガラスはブルー色に変更した。
2015年11月一部改良について
2015年11月の一部改良では純正ナビ・ドライブレコーダー・バックカメラ装着用プリワイヤーハーネスを追加。
クルーズとクルーズターボではフロントスピーカーを10cmから16cmに拡大。またオプションで「ビューティーパック」を追加設定した。
ハイゼットカーゴ(S321V/S331V)とアトレーワゴン(S321W/S331W)の違い
ハイゼットカーゴは4ナンバー軽貨物で軽バンと呼ばれるモデル。アトレーワゴンは5ナンバーで乗用モデルである。
ハイゼットカーゴとアトレーワゴンの違いは外装、内装、シート、グレード構成にある。
出典:ダイハツ認定中古車
ハイゼットカーゴはベーシックなフロントデザインだが、アトレーワゴンは乗用モデルらしく専用4灯式ヘッドライトやメッキグリル、フォグランプ付きバンパー、LEDターンランプ付きドアミラーが与えられよりスタイリッシュな顔つき。
出典:ダイハツ認定中古車
リアもアトレーワゴンではルーフスポイラーや専用リアバンパー、専用クリアーテールで差別化がなされる。
また足元もハイゼットカーゴがスチールホイール(もしくはホイールキャップ)に対しアルミホイールとサイドアンダースポイラーを標準装備する。
スライドドアはアトレーワゴンもハイゼットカーゴも両側備えるが、アトレーワゴンが電動のパワースライドドアに対し、ハイゼットカーゴでは手動のスライドドア。
アトレーワゴンの方が豪華装備ゆえに車重が重たく、逆にハイゼットカーゴは簡略化されているので軽い。
また、ボディカラーもハイゼットカーゴは全4色に対し、アトレーワゴンでは全7色と豊富。
出典:ダイハツ認定中古車
インテリアでは大きく異なり、中期型アトレーワゴンでは専用インパネで完全差別化。質感が大幅向上する。
特にスピードメーターはハイゼットカーゴの単眼式に対し専用3眼式となるなど明確な違いがある。
出典:ダイハツ認定中古車
さらにフロントシートはハイゼットカーゴがセパレート式に対し、アトレーワゴンではベンチシートを採用するなどよりゆったりと快適に乗れる。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートもハイゼットカーゴよりアトレーワゴンの方が足元空間が広く、より快適な後部座席となる。
ただしエンジンとトランスミッションの組合せに違いがありハイゼットカーゴは自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類で5MT&3AT(後に4ATに置換)。
クルーズターボには5MT&ターボの組合せがあるのに対し、アトレーワゴンでは全グレード4ATのみでターボエンジンのみの仕様となる。
そのため5MT&ターボを選択する場合は必然的にハイゼットカーゴのクルーズターボを選択する必要がある。
また4WDシステムもハイゼットカーゴがパートタイム4WDに対し、アトレーワゴンではフルタイム4WDの違いがある。
10代目・中期ハイゼットカーゴのエクステリア(外装)
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。中期モデルではフロントバンパーのデザインを変更。バンパー下部に横長のくぼみを設けてスタイリッシュ感をアップ。ベーシックながら洗練されたデザインとした。
また、向かって左側中央には2穴開口部も追加。ハイゼットカーゴの前期か中期かを見分けるポイントである。
出典:ダイハツ認定中古車
再度。このあたりは前期と同じ。先代よりもスクエア感が強くなり室内空間も拡大。より快適な運転席と使い勝手の良いキャビンとなった。
スライドドアは両側に装備。電動ではなく軽バンらしく手動タイプとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
足元は12インチスチールホイール。タイヤサイズは145R12-6PRLT。クルーズとクルーズターボではホイールキャップが標準装備となる。
出典:ダイハツ認定中古車
リア。10代目ハイゼットカーゴでは5代目エブリイ同様、それまでリアゲート両端にあったコンビランプをバンパー下部へ移動。開口部を広くして荷物の積み下ろしをしやすくした。
中期モデルでは特にリア周りの変更点はなく、前期と同じ。
ちなみにこのテールランプ。6代目ミニキャブバン(U61V/U62V)の最終モデル(OEMの初代NV100クリッパー)でも採用されたテールランプで、この年代の軽バンのリアビューはダイハツ・三菱・日産でほぼ皆同じという面白い事態が起こっていた。
エンジン・機能装備など
エンジンは新開発のKF型エンジンを搭載。可変バルブタイミング機構付きで直列3気筒DOHC自然吸気エンジンはKF-VE型、同インタークーラー付きターボエンジンはKF-DET型。
自然吸気エンジンの最高出力は50ps(37kW)/5700rpm、最大トルクは6.5kg・m(64N・m)/4000rpm。
スペシャルクリーンのみ53ps(39kW)/7200rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
ターボエンジンの最高出力は64ps(47kW)/5700rpm、最大トルクは10.5kg・m(103N・m)/2800rpm。
2015年4月一部改良では自然吸気エンジンの圧縮比向上が図られ出力と燃費がアップ。自然吸気エンジンのAT仕様の最高出力は53ps(39kW)/7200rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
自然吸気エンジンのMTモデルでは最高出力は46ps(34kW)/5700rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
ターボエンジンの最高出力は64ps(47kW)/5700rpm、最大トルクは9.3kg・m(91N・m)/2800rpmとなった。
トランスミッションは5MTまたは3ATと4AT。2010年8月一部改良で全グレードで4ATが標準採用。2015年4月にはこれが電子制御式4AT&電子制御スロットルとなった。
駆動方式はFRまたは4WDで、4WDは運転者が任意に切り替えて使うパートタイム4WDとなる。
安全装備はデビュー当初はスペシャルグレードで運転席エアバッグすら無かったが、前期モデルの2005年10月一部改良で全グレードに運転席&助手席エアバッグを標準装備化された。
EBD付きABSはクルーズグレードに標準装備。スペシャルやデラックスではオプション設定。
ハイゼットカーゴ クルーズターボとクルーズ、デラックス、スペシャルの最大積載量について
ハイゼットカーゴはいずれも税金が安い軽貨物仕様の4ナンバー車だが、スペシャルやデラックス、クルーズの最大積載量が350kgに対し、クルーズターボのみ最大積載量が200kgとなっている。
そのため最大積載量350kgが条件のひとつである「Amazonフレックス」には条件が適合せずクルーズターボが使えない。
また、その他の個人契約の運送業者でも最大積載量が350kgでないと難しい場合もあるためこのあたりは注意が必要だ。
ハイゼットカーゴ S321VとS331Vの違い
S321VとS331Vの違いは駆動方式。S321Vは後輪を駆動する2WD(FR)の10代目中期型ハイゼットカーゴ。
S331VはS321V型ベースで全輪を駆動する4WDの10代目中期型ハイゼットカーゴ。
S331Vの4WDシステムにはパートタイム4WDが採用されており、運転者が任意に切り替えることで普段は燃費の良いFR。いざという時は4WDという使い方ができる。
ただしジムニーやパジェロミニ同様に舗装路などの急カーブや駐車場での駐車時にタイトコーナーブレーキ現象が起きやすく、扱いには注意が必要だ。
10代目ハイゼットカーゴS321V/S331Vの持病や不具合、故障しやすい箇所
初期型のKF型エンジンを搭載する10代目ハイゼットカーゴの中期型には故障しやすい箇所や持病ともいえる部分がいくつかある。特に新型エンジン搭載初期モデルではよく発生しやすい。
オイル漏れ
まずは定番のオイル漏れ。10代目ハイゼットカーゴに限らず4代目ムーヴカスタム(L175S/L185S)、エッセ、ムーヴコンテなど初期のKF型エンジンを搭載するダイハツ車はかなりの確率でオイル漏れが発生しやすく、ヘッドカバーとシリンダーヘッドの間からオイルが漏れやすい。
ヘッドカバーパッキン(ガスケット)の交換で修理できるが、漏れを放置するとオイルが想像以上に減ってエンジンにダメージを与え、最悪エンジンブローの原因となるので注意が必要だ。
オイルリング固着
また初期型のKFエンジンには有名な「オイルリング固着」という症状がある。
これはオイルリングがスラッジで固着し、オイルを大量消費する事態に発展する。メンテナンスに興味がないオーナーはたまにエンジンを高回転まで回すこともなく、オイル管理も疎かになっているケースがある。
特にKFエンジンが搭載された初期モデルにおいては個体によってはオイルリング固着の症状を抱えている可能性がある。
中古車で購入する前は記録簿や実物を確認し、マフラーから白煙が出てないか、オイル消費が激しくないかなどを確認することをオススメする。
ウォーターポンプ故障・異音
次にウォーターポンプ。これも初期のKF型エンジンでは有名な故障箇所で、後に対策品になるほど壊れやすかった。
初期段階ではキキキーという金属音やアイドリング時にガラガラ音が鳴り、症状がひどくなるとウォーターポンプのベアリングがもげる場合も。
ウォーターポンプも放置するとエンジンが冷却できなくなり、これが走行中に発生するとオーバーヒートとなって最悪エンジンブローに至るケースも。
10代目ハイゼットカーゴの中期モデルを買う場合はヘッドカバーからにじみや漏れがないか、ウォーターポンプから異音がしないか、あるいは交換済みかを確認することをオススメする。
ウォーターポンプは過走行(約10万キロ)で寿命になるのが定説だが、KF型エンジンのウォーターポンプは例外で、低走行でもダメになるケースもある。
エンジンマウントブッシュの早期劣化
また、深刻な影響とはいかないまでも「エンジンマウント」にも持病的な不具合がある。
具体的にはKF型エンジンのエンジンマウントゴムの劣化がしやすく、暖気後のアイドリングで運転席側やひどいときには助手席側の振動が激しくなる。
なお、エンジンマウントに関してはリコールが出ていた(現在は延長保証期間が終了している)
格安で購入できてもエンジンブローで走行不能になっては修理に多額の費用がかかり、もう一度車本体を買い直すハメになりかねない。中古購入の際は要確認。
10代目・中期ハイゼットカーゴのインテリア(内装)
インパネ
10代目ハイゼットカーゴ中期型のインパネ。10代目ハイゼットカーゴは先代よりインパネデザインが大幅変更され、運転席まわりにスイッチを集中。
大型グローブボックスやアッパーボックスなど収納スペースも追加されて使い勝手が向上している。
ハイルーフ車では運転席上にオーバーヘッドコンソールが備わり、小物や軽い重量物を収納するスペースも設定される。
ステアリング
ステアリングはウレタンステアリング。クルーズとクルーズターボではメッキはオーナメント付き。中期型ではステアリングのデザインが3本タイプへ変更された。
ATシフトノブ・MTシフトノブ
ATシフトもインパネシフトを採用し、運転席から助手席の移動を容易とした。
5MTモデルでもインパネシフトが採用される。
4WDモデルではパートタイム式となり、インパネのスイッチで操作する。
ハイゼットカーゴのエアコン
エアコンはマニュアル式エアコンを全グレードに標準装備。オーディオ収納スペースも2015年4月一部改良で横幅180mmから200mmへ拡大された。
ハイゼットカーゴのスピードメーター
スピードメーター。デラックス、スペシャル、クルーズはタコメーターレスのシンプルな単眼式。
クルーズターボのみタコメーター付きとなる。ただし単眼式にタコメーターを追加した商用車らしいデザインとなる。
ハイゼットカーゴのフロントシート
フロントシートはセパレートタイプ。スペシャルとデラックスではヘッドレスト一体型シートで、簡素なつくり。
クルーズとクルーズターボではアトレーワゴンと同じ形状のヘッドレスト分離型シートとなる。上級グレードでは軽貨物らしくな上級なシートで快適性がアップする。
ハイゼットカーゴのリアシート
なお中期型マイナーチェンジでシート表皮の色がグレー系に変更されている。この点はインテリアで前期か中期かを見分けるポイント。
スペシャルとデラックスのリアシート。軽貨物らしいヘッドレスト無しの簡易的なシート。
クルーズとクルーズターボではヘッドレスト付きの左右分割可倒式シートとなる。こちらはリアの居住性も考慮されたシートでフロント同様上級なシートとなる。
オプション「ビジネスパック」について
なお、メーカーオプションの「ビジネスパック」を選択すると、クルーズとクルーズターボでもリアシートにデラックスやスペシャルと同じ一体可倒式シートが選択できた。
クルーズやクルーズターボでも2名乗車や荷物を乗せる人がメインの場合はこのオプションを選んだ人もおり、そのため中古車によってはクルーズやクルーズターボでもリアシートが軽バン仕様の個体がある。
ハイゼットカーゴのラゲッジスペース
出典:ダイハツ認定中古車
ラゲッジスペース。
出典:ダイハツ認定中古車
リアシートを倒した状態。
出典:ダイハツ認定中古車
スペシャルやデラックスのヘッドレスト一体型シートはこのように前側にも倒せてデスクのように使えたり、長物を積むときにも重宝する。
出典:ダイハツ認定中古車
スペシャル&デラックスとクルーズ&クルーズターボではラゲッジスペースの素材が異なり、スペシャル&デラックスでは汚れても大丈夫なラゲッジマット。
クルーズとクルーズターボではアトレーワゴンと同じカーペット素材が用いられる。
10代目中期ハイゼットカーゴの評価
10代目中期ハイゼットカーゴの総評
出典:ダイハツ認定中古車
10代目ハイゼットカーゴの中期モデルは新しくなったエンジンに新デザインのバンパー、明るいグレー内装など前期よりも魅力がアップしたマイナーチェンジとなっている。
特にモデル終盤では3ATが4ATに置換され静粛性や快適性がアップ。巡航時はエンジンの回転数が3ATモデルよりも下がる恩恵があり、遠出や高速道路を使う人にとって4AT搭載は嬉しいアップデートとなった。エブリイと並んで荷物がいっぱい積めて税金が安いモデルである。
出典:ダイハツ認定中古車
この後の後期マイナーチェンジではフロントデザインを変更し、LEDヘッドライト&テールランプを採用。自動ブレーキのスマートアシストⅢも搭載しさらに進化していく。
さらに11代目フルモデルチェンジではクラス初のFR専用CVTミッションの採用や、電子制御式4WDの採用でパートタイム4WDのような扱いやすさが無くなり、AT限定免許ドライバーでも乗りやすく、優れた運動性能や静粛性を向上させる。
予算に余裕があったり燃費性能や静粛性にこだわりたいのなら11代目もオススメ。
兄弟車・OEMモデル トヨタ・ピクシスバン(S321M/S331M)
ちなみに2011年12月からはトヨタ自動車へ「ピクシスバン」としてもOEM供給された。
エンブレムが違う程度のOEMモデルで、グレード構成もまったく同じだが、トヨタエンブレムにより雰囲気が若干異なるモデルとなっている。
ハイゼットカーゴよりも探しづらいが、他人と被りたくない人や変化球的なモデルが好きな人は「ピクシスバン」もオススメだ。
兄弟車・OEMモデル スバル・サンバーバン(S321B/S331B)
2012年4月にはスバルの軽自動車自社生産撤退に伴い、ダイハツからハイゼットカーゴがOEM供給。7代目サンバーバンとして発売された。
スバル版もエンブレムが違う程度のOEMモデルで、グレード名こそ違うもののハイゼットカーゴのグレード構成を踏襲する。
場合によってはピクシスバンよりもレアなOEMモデルで、めったに見かけない。
10代目・中期ハイゼットカーゴの中古車はモノによっては割安で買いやすい…?
中古市場ではタマ数が豊富で特に中期型でも初期型が安い傾向にあるが、上述のKFエンジンに由来する持病的な不具合があるため、部品交換がなされているかなど整備記録簿や状態をよく確認することをオススメする。
仕事で使う以外にもクルーズターボには5MT&ターボの組合せがあり、乗用モデルの部品を流用してのカスタムなど、趣味車としても面白い一面を持つ。
個体によってはかなり割高なものもあるが、中には安価なものもあり買いやすい個体もある。ただしあまりにも激安の中古車だと現状渡しのケースが多く、購入後の不具合からトラブルの要因となったり高額修理で出費がかさむケースもある。
特に仕事で使うことを考えている場合は、きっちりと整備された状態の良いものを選ぶようにしたい。ハイゼットカーゴそのもは税金も乗用モデルよりも安いためキャンプやレジャー、車中泊、車いじりと活躍が期待できるモデルだ。
ただ、この後フルモデルチェンジした11代目のCVTを考慮すると、予算がある場合は思い切って新車を買ったほうが静粛性や燃費性能などで性能差の恩恵が大きい。
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