ハイゼットカーゴはダイハツの商用ワンボックス型軽自動車。本稿では10代目の中期型(2007年12月マイナーチェンジ~2017年10月)に設定された特別仕様車、「55thアニバーサリー ゴールドエディション」を扱う。
出典:埼玉ダイハツ
10代目 ダイハツ・ハイゼットカーゴとは?
2004年12月にフルモデルチェンジし、10代目となったダイハツ・ハイゼットカーゴ。トラックのハイゼットトラックはフルモデルチェンジとならず、大幅改良での登場となった。
節目となる10代目のハイゼットのコンセプトは「しっかり、楽々仕事ができる高効率カーゴ」。
積載性、荷役性、乗降性の大幅向上により宅配や小売、自営業など幅広い業種での販路拡大を狙うものだった。
出典:ダイハツ認定中古車
10代目ハイゼットカーゴは、同年代のライバル、スズキ・エブリイと同じようにボディを大型化し、よりスクエアなスタイリングで室内空間を広げているのが大きな特徴だ。
さらにエブリイ同様にそれまでのテールゲートにあったテールランプをバンパー下部へ移動し開口部を拡大。リアゲートからの荷物の積み下ろしの利便性を向上させている。
10代目ハイゼットカーゴ・中期型のエクステリア概要
出典:ダイハツ認定中古車
エクステリアは先代のイメージを持たせつつも大型マルチリフレクターヘッドライトや横長テールランプの採用で新世代の雰囲気を演出。ベーシックでありながらスタイリッシュなデザインとした。
10代目ハイゼットカーゴのパッケージング
ボディスタイルはセミキャブオーバーレイアウトを採用し、荷室長は1,860mm、荷室幅は1,375、荷室高は1,235mmを確保。
また、10代目からはテールランプをリアバンパーに移動し開口部を1,335mmに拡大。低床荷室フロアと相まって高い荷役性を実現した。
またボディの約75%以上に亜鉛メッキ合金を用いた防錆鋼板を採用。加えてステンレス製マフラーを標準採用したことにより先代モデルのカーゴ(S200V/S210V)に対し、防錆性能が強化。特に雪国など塩カリの被害がある地域では嬉しい仕様だ。
出典:ダイハツ認定中古車
ハイゼットカーゴのボディカラー設定
ボディカラーはオフホワイト、ブルーマイカメタリック、ブラックマイカ、ファインシルバーメタリックの全4色を設定。
10代目ハイゼットカーゴのインテリア概要
インテリアではインパネデザインを刷新し、スイッチ類を運転席まわりに集中配置。より扱いやすさを向上させた。
また、便利な収納スペース(大型グローブボックス、大型アンダーボックス、大型インパネアッパーポケット)も新設定し利便性も向上させた。
さらにインパネそのものもコンパクトにし、ハイゼットカーゴ初のインパネシフトの採用やシートスライド量を増加させたことで快適な室内空間とした。
10代目ハイゼットカーゴのエンジン・快適装備・安全装備概要
エンジンは先代からキャリーオーバーとなる3気筒OHCエンジンのEF-SE型エンジンと3気筒ツインカム連続可変バルブタイミング機構のEF-VE型、3気筒ツインカムターボのEF-DET型の計3種類を設定。
トランスミッションは5MTと3AT、4ATの3種類を設定する。
2450mmのロングホイールベースに4.2mの最小回転半径、サスペンションには3リンク・リヤコイルスプリングの採用で高い走行安定性と快適な乗り心地、街中での取り回しの良さを両立させている。
快適装備としてはエアコンと集中ドアロックを全グレードに標準装備。
安全装備としてはグレード別に運転席エアバッグ、助手席エアバッグ、EBD付きABSを設定した。
10代目ハイゼットカーゴ中期型(S321V/S331V)と前期(S320V/S330V)の違い
2007年12月マイナーチェンジ(中期型)の改良点
その10代目ハイゼットカーゴは2007年12月のマイナーチェンジで中期型に移行。
中期型では全グレードで新開発のKF型ツインカムエンジン(可変バルブタイミング機構付き)を搭載し、燃費やパワー、排ガスや走行性能をアップ。
これにより型式がS320VからS321Vへ。S330VからS331V型へ変更となった。
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザインは新バンパーの採用でワイド感や安定感のある顔つきに変化。
出典:ダイハツ認定中古車
インテリアではステアリングホイールのデザインを3本タイプへ変更。さらにインテリアカラーも明るいグレー調に変更した。
安全装備としてクルーズとクルーズターボにリヤ3点式ELRシートベルト(チャイルドシート固定機構付)を標準装備。
ボディカラーは一部名称が変更となり、ファインシルバーメタリックがブライトシルバーメタリックに。
快適装備としてスペシャル、スペシャルクリーン、デラックスにAM/FMラジオを標準装備した(※運転席&助手席エアバッグは2005年10月一部改良時に全グレードに標準装備化)。
そのため、S320V/S330VとS321V/S331V型とでは前期、中期と判別ができ搭載エンジンとフロントバンパー、ステアリングホイールのデザイン、インテリアカラーなどが異なる。
2010年8月の一部改良について
2010年8月の一部改良では排ガス基準をJC08コールドモードに対応。2WD・NAの3速AT車はCNG車を除きそれまでの3ATを廃止。全車4速AT化したことにより燃費が向上。「平成22年度燃費基準+10%」を達成した。
さらに「クルーズ」とクルーズターボにはトップシェイドガラスやメッキステアリングオーナメントが標準装備化。ボディカラーに「パールホワイトⅢ」がオプションカラーとして追加された。
2011年12月一部改良について
2011年12月一部改良では4WD車のテールゲートの「4WD」ロゴのデカール貼付を廃止。ボディカラーも「オフホワイト」を廃止。
入れ替えで「ホワイト」が新設定された。さらにこの時にトヨタへ「ピシクバン」としてOEM供給開始。
2012年12月一部改良について
2012年12月の一部改良ではJC08モード燃費に対応。「クルーズターボ」を除くFF・4AT車及び「クルーズ」の4WD・4AT車は平成27年度燃費基準を達成。
2015年4月一部改良について
2015年4月の一部改良ではATに電子制御式4ATを採用。さらに電子制御スロットルを採用したことで燃費を向上させた。
インパネはオーディオ収納スペースをそれまでの横幅180mmから200mmに変更。クルーズとクルーズターボのトップシェードガラスはブルー色に変更した。
2015年11月一部改良について
2015年11月の一部改良では純正ナビ・ドライブレコーダー・バックカメラ装着用プリワイヤーハーネスを追加。
クルーズとクルーズターボではフロントスピーカーを10cmから16cmに拡大。またオプションで「ビューティーパック」を追加設定した。
特別仕様車 ハイゼットカーゴ 55th アニバーサリーゴールドエディションとは?特別装備やベースモデルとの違いなど
その10代目ハイゼットカーゴに2015年11月。ハイゼットカーゴの誕生55周年を記念した特別仕様車が設定された。それがこの「55thアニバーサリーゴールドエディション」である。
同時期には軽トラのハイゼットカーゴ、乗用モデルではミライース、ムーヴカスタムなどにも記念モデルが設定された。
ハイゼットカーゴのゴールドエディションは上級ターボ「クルーズターボ」、上級「クルーズ」、ミドルグレード「デラックス」がベース。
これに特別仕様のゴールド加飾や専用エンブレム、ブラック内装(+シート表皮は撥水加工)、ボディ外板表面錆保証3年、ボディ外板穴あき錆保証5年の長期保証、ABSの標準装備などで特別感を高めたモデルとなっていた。
出典:埼玉ダイハツ
ゴールドエディションのエクステリアは
・専用 Anniversary エンブレム(フロントドア&バックドア)
・専用ゴールドメッキフロントグリル (※クルーズ、クルーズターボのみ)
・トップシェイドガラス (※デラックスのみ クルーズとクルーズターボは既装備)
ボディカラーはゴールドエディションに特別設定の専用車体色
- アーバンナイトブルークリスタルメタリック(特別設定)
- マスカットグリーンメタリック(特別設定)
- ミストブルーマイカメタリック(特別設定)
- トニコオレンジメタリック
- ブラックマイカメタリック
- ブライトシルバーメタリック
- パールホワイトIII
- ホワイト
の全8色を設定。商用車にしては異例の豊富なボディカラーとした。
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インテリアでは
- 専用ゴールドフェイスプレート付インテグレート CD・AM/FM ラジオ・AUX 端子
&16cm スピーカー (※クルーズ、クルーズターボのみ) - シルバーメーター&センタークラスター
- フルファブリック表皮(ブラック撥水加工)
- ドアトリムパッドウェルダー(ブラック)
- 荷室LEDランプ (※クルーズ、クルーズターボのみ)
安全装備や機能装備は
- EBD付きABS (本来はオプション設定)
- 特別防錆保証(ボディ外板表面3年、ボディ外板穴あき5年)
を標準装備化。内外装や機能面で特別感を高めたモデルとなっていた。
ゴールドエディションとリミテッドの違い
55周年記念で設定されたゴールドエディションと2014年12月発売の「リミテッド」では内外装が若干異なる。
クルーズやクルーズターボに標準装備されるメッキグリルはゴールドエディションでは金色。リミテッドでは通常のメッキ色。
ゴールドエディションには「専用55th アニバーサリーエンブレム」が付くが、リミテッドには非装備。
内装ではゴールドエディションにゴールドプレート仕様のオーディオが付くのに対し、リミテッドではベースモデルと同じオーディオ(リミテッドの2016年12月再登場時はブラックプレート付きのオーディオが付くようになる)。
ブラック内装やファブリックシート表皮、シルバーセンタークラスターなどの加飾は同じ仕様。
ボディカラーは2014年12月設定時のリミテッドとゴールドエディションとでは特別色が異なるが、2016年12月再登場時は同じボディカラーとなった。
ゴールドエディションのほうが見た目がゴールド仕様のため派手で、リミテッドでは少し落ち着きがある。
エクステリア
出典:ダイハツ認定中古車
フロントデザイン。ゴールドエディションではゴールドメッキフロントグリルが装着される。標準のメッキグリルと比べてもゴールドメッキが特別感を演出する豪華なグリルで、かなり差別化される。
なお、デラックスベースのゴールドエディションにはこのメッキグリルは非装備でノーマルと同じ顔つきとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
サイド。ゴールドエディションではフロントドア前部に「55th Annyversary」エンブレムが付く。これ以外はベースモデルと同じ。
スライドドアは両側に装備するが電動ではなく軽バンらしく手動タイプとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
タイヤサイズは145R12-6PRLT。クルーズとクルーズターボベースではホイールキャップが標準装備。デラックスベースでは鉄チンホイールのみとなる。
ボディカラーもゴールドエディション専用色
- アーバンナイトブルークリスタルメタリック
- マスカットグリーンメタリック
- ミストブルーマイカメタリック
が設定され商用軽バンにしては鮮やかなカラーリングが設定される。このあたりも特別感がある。
出典:埼玉ダイハツ
リア。ゴールドエディションではリアゲートに「55th Annyversary」が付く。これ以外はベースと同じ。専用エンブレムによるワンポイントな特別感を演出する。
エンジン・安全装備・機能装備
エンジンはKF型エンジンを搭載。可変バルブタイミング機構付きで直列3気筒DOHC自然吸気エンジンはKF-VE型、同インタークーラー付きターボエンジンはKF-DET型。
ゴールドエディションでは2015年4月一部改良が適用され、同じ中期型ハイゼットカーゴでも自然吸気エンジンの圧縮比向上が図られ出力と燃費がアップしている。
自然吸気エンジンのAT仕様の最高出力は53ps(39kW)/7200rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
自然吸気エンジンのMTモデルでは最高出力は46ps(34kW)/5700rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
ターボエンジンの最高出力は64ps(47kW)/5700rpm、最大トルクは9.3kg・m(91N・m)/2800rpmとなった。
トランスミッションは5MTまたは4AT。デビュー当初は3ATや非電子制御4ATを採用していたが、2015年4月には電子制御式4AT&電子制御スロットルとなった。
駆動方式はFRまたは4WDで、4WDは運転者が任意に切り替えて使うパートタイム4WDとなる。
安全装備は全グレードに運転席&助手席エアバッグを標準装備。
EBD付きABSはクルーズグレードに標準装備。デラックスではゴールドエディションで標準装備とした。
インテリア
出典:埼玉ダイハツ
インパネ。ゴールドエディションではセンタークラスターとスピードメーターガーニッシュがシルバー塗装に変更。
クルーズとクルーズターボベースでは55th記念の「ゴールドフェイスプレート付インテグレート CD・AM/FM ラジオ・AUX 端子」と「16cmスーピーカー」が標準装備となる。
これ以外はベースと同じで、マニュアル式エアコンなどを標準装備する。
出典:埼玉ダイハツ
ステアリングもウレタンステアリング。
スピードメーター。デラックス、クルーズはタコメーターレスのシンプルな単眼式。
クルーズターボのみタコメーター付きとなる。ただし単眼式にタコメーターを追加した商用車らしいデザインとなる。
デラックスではフロントガラスがトップシェイドガラス仕様に変更となる(クルーズとクルーズターボにはベースに標準装備)。
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フロントシートはセパレートタイプ。ゴールドエディション仕様としてブラック色の撥水加工シート表皮となる。また、ドアトリムパッドウェルダーもブラック仕様となる。
デラックスベースではシート形状がノーマルと同じヘッドレスト一体型で、シート表皮のみ撥水加工のブラックシートとなる。
出典:埼玉ダイハツ
リアシート。こちらもブラックの撥水加工シートとなる。デラックスベースではヘッドレストが無いベンチシートとなる。
出典:ダイハツ認定中古車
ラゲッジスペース。クルーズとクルーズターボにはゴールドエディション仕様として、LED荷室ランプが標準装備となる。
まとめ
10代目ハイゼットカーゴのゴールドエディションは専用のゴールドフロントメッキグリル、専用エンブレムや専用シート表皮、ゴールドオーディオ、シルバーパネル、軽バンにしては鮮やかなボディカラーなど、特にクルーズやクルーズターボでは乗用モデルのアトレーワゴンに近づけた特別仕様車となっていた。
軽バンといえば簡素な装備やベーシックな見た目、内装も簡略化されることが多いが、ゴールドエディションではその逆でかなり豪華で特別感が強いモデルであった。10代目ハイゼットカーゴの中古を探すさいにも他人とはかぶりたくない、こだわりたい人には嬉しいモデルである。
中古市場では10代目中期ハイゼットカーゴの中でもタマ数が少ないモデル。プレミアム価格は付いてないので値段は買いやすいが、見つけづらいためその点がネックか。
ヘッドライトやテールランプはアトレーワゴンの純正に交換して見た目をカスタムできるので、このあたりも嬉しいポイント。
維持費も軽バンの4ナンバーで税金が安く、荷物もたくさん積めて配送やフードデリバリーなどの仕事にも使えるなど、多方面で使い勝手が良い特別仕様車である(※クルーズターボは最大積載量が200kgなので注意)。
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