【低燃費仕様・後期型】スズキ アルトエコ(HA35S型) | シン・軽自動車マニア

【低燃費仕様・後期型】スズキ アルトエコ(HA35S型)

アルト

アルトエコはスズキのハッチバック型軽自動車。7代目アルトに設定されていた派生の低燃費特化モデルである。。本稿では2013年3月のマイナーチェンジ~を後期型とし、これを扱う。

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7代目アルトとは?

2011年12月にダイハツ・ミライースを後追いする形で登場したアルトエコ。ベースとなった7代目アルトは2009年にデビューしたが、当初はアルトエコという車は存在しなかった。

ところがライバルのダイハツが2009年の第41回東京モーターショーに低燃費に特化した軽自動車(第3のエコカー)の「イース」を出展。

2年後の2011年12月に「ミラ・イース」として販売したのに対向する形で登場したのこのアルトエコである。ただし、スズキの開発者が言うには当初から発売することが決まっていて、ちょうど時期が重なっただけとされている。

メーカーの言い分は特に意識していないとのことだが、発売時期やコンセプトなどがほぼ同じなのでやはりミラ・イースを意識していると言わざるを得ない部分があるモデルであった。

開発に関してはダイハツ側はボディを専用設計し全く新しい軽自動車として登場させたが、スズキは既存の7代目アルトを流用(※一部新エンジンを載せるために新たに設計している部分がある)。

そのためにダイハツはミラという名前が付いているものの既存のミラとは違うデザインなのに対し、スズキは既存のアルトによく似ているのである(ちなみにダイハツ側のミラ・イースは、当初はイースという名前のみで販売されるとされていたが、あとからサブネームで知名度の高い「ミラ」の名前が付けれた)。

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アルトエコとは?特徴やアルトとの違い

アルトエコではそれまでのK6A型エンジンから新世代のR06A型に置換。トランスミッションも従来の副変速機内蔵CVTのフリクションを低減し、効率を高めた。

また、時速9km以下でエンジンを自動停止する停車前アイドリングストップ機能を搭載。それまでよりもアイドリングストップの頻度を高めて低燃費化に貢献させた。

リアコンビネーションランプもハイマウントランプとあわせてLEDに変更。消費電力を削減しエンジンに対するオルタネーターの負荷を削減した。

出典:スズキ認定中古車

ボディに対しても軽量化がなされ、コンパクトでロングストローク型の新型R06Aエンジンとエンジン周りの骨格の新設計で軽量化を実施。サスペンション部品、ドライブシャフト、フルホイールキャップも見直して軽量化を徹底した。

他に軽量フロントバンパー、内装のシートクッションのパッド、リヤシートバックの構造変更、トランクボードの材質変更など細かな軽量化も行った。

空力性能に対してもアプローチし、ベースモデルよりも-15mmローダウン。専用のエロバンパーにより車体下部の空気抵抗を低減させ全体の空力性能を向上させた。

出典:スズキ認定中古車

さらに転がり抵抗の低いタイヤの採用やハブ一体構造車軸ベアリングの採用などにより回転抵抗も低減。走行中の引きずり抵抗を低減したフロントブレーキパッドの採用した。

これら徹底した軽量化によりデビュー時、FFのCVTで22.6km/L(JC08モード)だった燃費は30.2km/L(JC08モード)まで向上。約30%以上の燃費向上を果たした。

また、それと当時に新車価格は89万5千円。上級グレードでも99万5千円からと低燃費と低価格を両立させたモデルとなっていた。

後期型アルトエコとは?改良点、前期型、3型と4型の違い

アルトエコ・後期マイナーチェンジ(3型)の改良点

そのアルトエコは2013年3月にフロントデザインの変更を含めたビッグマイナーチェンジを行い、後期型となった。

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後期アルトエコのフロント

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前期アルトエコのフロント

エクステリアではベースのアルトエコとは異なる専用デザインのグリル&フロントバンパーを装着。アウタードアハンドルやドアミラー(※上級ECO-Sのみ)もシルバー塗装とし質感をアップさせた。

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後期アルトエコのスピードメーター(タコメーター付き3眼式)

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前期アルトエコのスピードメーター(単眼式)

後期インテリアではシート表皮の変更とスピードメーターのデザインを大幅変更しタコメーター付き3眼式タイプに。

ステアリングも立体的な3本ステアリング形状に変更し、中央のオーナメントも黒背景にSマークがプリントされたはめ込みタイプから、メッキエンブレムを使った上級感ある立体タイプに変更となった。

さらに燃費の向上のため「エネチャージ」、「新アイドリングストップシステム」、「エコクール」の採用。加えてアルトエコでは当初設定のなかった4WDモデルが追加

便利装備としてはキーレスエントリーを全グレードで標準装備化。リアシートのヘッドレストをECO-Sグレードに標準装備。リアワイパーも新たにECO-Sグレードに標準装備とした。

運転席シートヒーターとヒーテッドドアミラーを4WD車に標準装備。

さらにECO-SにはメーカーオプションでLEDサイドターンランプ付きドアミラー、キーレスプッシュスタートシステム、イモビライザーを設定し、アルトエコの魅力をより高めたマイナーチェンジとなった。

アルトエコ・4型の改良点

2013年11月の一部改良(4型)ではエンジンの圧縮比を11.0から11.2に向上し、ピストン丁面の形状を変更。エンジンオイルとエンジンオイルポンプの変更により摩擦抵抗(フリクション)を低減。

加えてパワートレイン制御の最適化も行ったことでFFモデルでは2.0km/L、4WDモデルでも1.4km/L燃費を向上させた。

装備面では「ECO-S」の前輪駆動車に運転席シートヒーターとヒーテッドドアミラーのセットオプションを追加。運転席シートヒーターは廉価「ECO-L」にも拡大して設定し、4WD仕様に標準装備化。FF車にはオプション設定した。

ヒーターそのものもの改良を行い、エンジン始動直後の低水温時にCVTクーラーへのエンジン冷却水の流れを遮断し、短時間で冷却水を温めることでヒーターが効き始める時間を短縮した。

ボディカラーも入れ替えが行われ、

  • ミルクティーベージュメタリック
  • ブルーイッシュブラックパール3

を廃止。これらをアルト専用色に移行する替わりに、新たな専用色として

  • フェニックスレッドパール
  • シャンパンピンクパールメタリック

を新設定した。

そして全グレードで新車価格を引き下げ、約7万円ほど安くなり、一番安いECO-LのFFモデルでは90万円を切る、80万円台の新車価格とした。

後期アルトエコ、3型と4型の違い

後期アルトエコ3型と4型の違いはボディカラー、燃費、快適装備の設定が異なる。

一番わかりやすいのはボディカラーで、3型までは「ブルーイッシュブラックパール」と「ミルクティーベージュメタリック」の設定があるが、4型ではこれらが廃止され新色「フェニックスレッドパール」と「シャンパンピンクパールメタリック」の2色が追加された。

後者2色であれば4型以降のモデルである。

また燃費も4型では少し良くなり、快適装備のシートヒーターがECO-SのFFモデルでヒーテッドドアミラーをセットオプション化。さらに廉価ECO-Lでも設定となり、ECO-Lの4WDには標準装備化。ECO-LのFFモデルではオプション選択可能となった。

そしてヒーターそのものが改良され、エンジン始動直後からより短時間で温風が出るようになった。

アルトエコのグレード構成 ECO-S(エコS)とECO-L(エコL)の違い

後期型アルトエコのグレードは廉価グレードの「ECO-L」と上級グレードの「ECO-S」の2種類。

後期モデルでは特別仕様の設定はなく、基本グレードのみだった。

ECO-L(エコL)グレード

アルトエコの廉価グレード。外装では樹脂タイプ(非塗装)の手動式ドアミラーに樹脂タイプ(非塗装)のアウタードアハンドル、リアガラスとリアゲートガラスはプライバシーガラス(スモークガラス)が非装備。

内装ではほぼ同じだが、リアシートのヘッドレストが非装備。

快適装備ではプッシュエンジンスタートとスマートキーが非装備(従来タイプの電波式キーレス・施錠解除一体式)となる。

ECO-S(エコS)グレード

アルトエコの上級グレード。装備が少し豪華になる。

エクステリアではLEDターンランプ付き電動格納ミラーをオプション設定。リアのプライバシーガラスは標準装備となる。

内装はリアシートのヘッドレストを標準装備。快適装備ではプッシュエンジンスタートとスマートキーが標準装備となる。

後期型アルトエコのエクステリア(外装)

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出典:スズキ認定中古車

フロントデザイン。前期型ではノーマルと同じグリルだったが後期型ではあらたに専用の格子状グリルを採用。コストの関係上、メッキグリルではなくシルバー塗装となっているが、元々ベーシックなデザインだったためかなり違った印象を受ける。

アルトエコという特別なグレードを表現するのにも一役買う部分だ。

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出典:スズキ認定中古車

サイドから。「ECO-S」グレードではドアミラーがシルバー塗装に(ベーシックな「ECO-L」グレードはそのまま)。ドアハンドルカバーもグリル同様のシルバー塗装とすることでノーマルとは差別化されている。

特に黒系のボディカラーと合わせるとメッキタイプではないものの、ちょっとだけスタイリッシュな外観になっている。

出典:スズキ認定中古車

足元は13インチスチールホイール+ホイールキャップ。タイヤサイズは145/80R13。アルトエコでは空力特性と意識したデザインのホイールキャップとなり、タイヤもエコタイヤを標準装備するなど、燃費性能を意識した仕様となる。

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出典:スズキ認定中古車

リア。このあたりは特に変更は無いが、アイドリングストップが採用されたことで右下にエンブレムが追加されている。

ブレーキランプとハイマウントストップランプは標準でLED仕様で低消費電力化に貢献している。

エンジン・機能装備・安全装備など

エンジンはR06A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。

最高出力は52ps(38kW)/6000rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/4000rpm。

3代目MRワゴンで初採用となった新開発のR06A型エンジンを搭載し、これに5代目前期のワゴンRでも採用した「スズキグリーン テクノロジー」をアルトエコでも取り入れ、前期型よりも燃費をアップさせた。

具体的にはエネルギー回生機構の「エネチャージ」、「新アイドリングストップシステム」、「エコクール」、パワートレインの高効率化、車体のさらなる軽量化(20kg減)、走行抵抗の低減などでFFモデルはデビュー当初の32.0km/lから33.0km/lへ。

さらに4WDモデルでも30.4km/lを実現している。その後もアルトエコは細かなマイナーチェンジを行い、最終的にはFFは35.0km/l。4WDでは32.0km/lを達成した。

トランスミッションはCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。

安全装備として運転席&助手席エアバッグとEBD付きABSを標準装備する。

アルトエコ(HA35S)の燃費は良い?実燃費は?ガソリン消費が少なく経済的

アルトエコ実燃費は

  • 2WDモデルが20km/L~29km/L
  • 4WDモデルは18km/L~27km/L

で、現行モデルよりも少し古いが燃費性能に関しては現行モデルに通ずるぐらい良く、中古価格ともあわせてお買得なエコカー的側面がある。

特にFFモデルは街乗りでもリッター20km以上走ることが多く、プリウス並の燃費性能でガソリンの減りも遅く低燃費を実感できる。

4WDモデルはFFモデルよりも少し燃費性能が悪いが、スペーシアN-BOXなどのスーパーハイトワゴンなどの背の高い4WDな軽自動車と比べれるとかなり良い方で、こちらも低燃費が期待できる車だ。

モデル終盤の4型以降ではエンジンのフリクション(摩擦抵抗)低減とパワートレインの最適化で、さらに燃費が良くなり、遠出などでリッター30kmを越える場合もある。

ひとつ注意点としては燃料タンクが20Lしかないので、降雪地帯の冬期など燃費が悪くなる時期は万が一の立ち往生も考慮してはやめの給油を心がけるように。

後期型アルトエコのインテリア(内装)

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出典:スズキ認定中古車

インパネ。デザインは同じだがカラーリングが後期型では一新され、ライトグレーとブラウンを組み合わせたコントラスト感あふるれる内装としている。

ステアリング形状も変更され、立体的デザインを採用したスタイリッシュタイプに変更。中央のオーナメントもはめ込み式からメッキエンブレムの立体タイプに変更された。

なおステアリングのの奥にはアイドリングストップ機能OFFのスイッチが備わり、任意で常にアイドリングストップ機能をオフ状態にできる(通常はON状態)。

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スピードメーター。こちらも後期型でデザインが一新された。前期型のタコメーターなしのベーシックタイプから、タコメーター付きの上級なメーターに。

さらに「エコドライブアシスト照明」を採用し、エコドライブの状態により照明色が青色~緑色に変化する。これに加えマルチインフォメーションディスプレイに、エコドライブ度を100点満点で採点する機能「エコスコア」を採用。

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シフトノブはベーシックなフロアシフトを採用し、ちょっと安っぽい。シフトボタン下にはDsレンジボタンを備え、オンにするとエンジン回転数を高めたスポーツ走行的な走りが可能になる。登坂や加速時でパワーが欲しい時、あるいはエンジンブレーキを積極的に使いたいとき重宝するボタン。

なお、Dsモードの状態ではアイドリングストップ機能が作動せず、時速9km以下になっても常にエンジンがかかった状態になる。

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出典:スズキ認定中古車

フロントシートはセパレートタイプ。前期型と形状は同じだが、ライトグレーをベースに水色のアクセントを加えたシート表皮に変更された。

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出典:スズキ認定中古車

リアシート。ヘッドレストは上級のECO-Sグレードのみに標準装備。共に左右一体可倒式。

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出典:スズキ認定中古車

ラゲッジルーム。

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出典:スズキ認定中古車

リアシートを倒した状態。リアシートを倒した状態。このへんの使い勝手はベースと同じだ。

後期型アルトエコの評価

後期型アルトエコの総評

7代目アルトに設定されたアルトエコの後期型は、専用のグリルにより見た目がノーマルよりもグレードアップしている点と低燃費な部分がホットである。

これでいてFFモデルであれば100万円を切る新車価格だったので、「低燃費&低価格」という軽自動車の本来あるべき姿を目指していた1台だ(その後8代目アルトでもその路線は踏襲される)。

ただ、その徹底した低燃費を実現するためにタンク容量を20Lにした部分があり、ネット上ではそれが不安視されていた。

給油を早めればカタログ燃費が元々良いのでそのまで心配ないと思うが、雪国の氷点下など走らない状態でアイドリング回転数が高くなるような条件下では燃料消費がかなり多くなるので、燃料計には注意を払ってほしい。

デザイン的には好き嫌いが別れるが、8代目のかなり個性的な顔つきが気にいらない人にとっては変化球的に7代目がよく見えたりするので、そういった購入層の間では中古でも需要のあるモデルだ。

当時のライバル、ミライースと比べても後期モデル可愛らしさに加えてスタイリッシュ感もアップしており、専用グリルにより存在感もある点も見逃せない。

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中古市場のアルトエコが性能の割に安い理由

中古市場では年数経過もあり、走行距離の割には比較的安価で買いやすいモデル。

その理由は元々新車販売価格が安く、人気のスーパーハイト(N-BOXなど)やクロスオーバーSUV(ハスラー)といった車種でもないので、10年経過で中古価格が下落したことにある。

特にアルトというモデル自体が新車販売価格が安い車なので、中古に流れるユーザーも少ない(需要が少ない)。さらに現行アルトは2世代進んで9代目となっている部分も大きい。

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外観はグリル以外ノーマルの7代目アルトそのものだが、中身は8代目アルトに近い低燃費仕様で、かなりお買い得。

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自動ブレーキこそ無いが燃費の面ではそこそこ奮闘しているので「安価&低燃費な中古軽自動車」として隠れた良中古車である。

兄弟車・MRワゴンエコ

ちなみにアルトエコの技術を適用し、MRワゴンに適用したグレードに「MRワゴン エコ」がある。

外観は3代目MRワゴンで、中身はアルトエコと同じR06Aエンジンや副変速機付きCVT、エネチャージなどの採用でアルトエコのような低燃費をほこる低燃費仕様車。

アルトエコよりも車内が広く、外観も安っぽくないのでアルトエコの低燃費に興味を持った人はMRワゴンエコもチェックしてみてほしい。価格も手頃でオススメである。

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