ワゴンRはスズキのワゴン型軽自動車。本稿では6代目のハイブリッド仕様であるMH35S型に設定された特別仕様車、「ハイブリッドFXリミテッド」を扱う。
出典:スズキ認定中古車
6代目 スズキ・ワゴンRとは?
2017年2月にフルモデルチェンジし、6代目となったスズキ・ワゴンR。
6代目の大きな特徴は大幅に変更されたデザインとマイルドハイブリッド(旧称:S-エネチャージ)の進化、デュアルカメラブレーキサポートに変る「デュアルセンサーブレーキサポート」や、「ヘッドアップディスプレイ」の軽初採用、さらに広くなった室内空間や利便性能の向上などがあげられる。
出典:スズキ認定中古車
まずデザイン面ではそれまでの4代目~5代目にかけてのワゴンRのイメージを大幅刷新。デザインには初代ワゴンRのモチーフを取り入れかつそれまでのノーマルとカスタムモデルの2本構成からノーマルを1種類、カスタムを2種類の合計3種類の顔つきの異なるモデルを設定した。
これはワゴンR史上では初の試みで、先行するスペーシアシリーズ(スペーシア、スペーシアカスタム、スペーシアカスタムZ)に続く2例目の3モデル構成となった。
インテリアでもワゴンRでは初となるセンターメーターを採用。インパネデザインも水平基調をベースに横長のインパネカラーパネルにより開放的な視界と室内空間を演出している。
先代までの「S-エネチャージ」は6代目で一般的な「マイルドハイブリッド」に名称変更。
システムもISG(モーター機能付き発電機)を高出力化し、リチウムイオン電池も大容量化したことでモーターによるクリープ走行(アイドリングストップ後の発進時に最長10秒間)、発進から時速100kmまでのモーターアシストなどが可能となり、ハイブリッド機能の強化とさらなる低燃費(33.4km/L(JC08モード))を実現した。
またボディも軽量化と高剛性を両立した新プラットフォーム「ハーテクト」を採用。足回りやボディ、プラットフォームの軽量化により先代比20kgの軽量化を実現。
安全技術としてはそれまでのレーザーレーダーを用いた「レーダーブレーキサポート」から、単眼カメラと赤外線レーザーセンサーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポート」に変更。
先代のレーダーブレーキサポートでは非搭載だったハイビームアシスト機能を新たに盛り込み、従来どおりの誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能を搭載している。
さらに軽自動車としては初の「ヘッドアップディスプレイ」を新採用。走行中の視線移動を少なく、安全運転に配慮した。
室内空間は6代目で新プラットフォーム「ハーテクト」の採用により完全新設計。室内長は歴代最長の2450mmを実現(先代比で約300mmアップ)し、広々とした室内空間した。
また、リアコンビネーションランプを初代と同じバンパー下部に移動したことでラゲッジルームの開口部を100mm拡大。3代目エブリイワゴンのように商用車のような使い勝手を実現した。
ワゴンR(MH55S)25周年記念車ハイブリッドFXリミテッドとは?特別装備と他との違い
その6代目ワゴンRに2018年9月。初代ワゴンRの発売から25年が経過したことを記念する特別仕様車が3種類設定された。そのうちのベーシックな標準ワゴンRに設定されたのが本稿で扱う「ハイブリッドFXリミテッド」である。
ワゴンRは過去にも似たような生誕を記念するモデルが登場しているが、今回は前回の先代モデル(5代目前期型ベースの)20周年記念モデルから約5年ぶりの登場となった。

ハイブリッドFXリミテッドは名前からも想像がつくように標準モデルの中でもマイルドハイブリッドを採用した「ハイブリッドFX」グレードがベース。
外装では
- スモークメッキとスチールシルバーのフロントグリル
- 14インチアルミホイール
- シルバードアハンドル
- IRカット機能付フロントガラス
- プレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)
- 専用エンブレム
を。内装では
- ネイビーとシルバーの専用インパネカラーパネル
- 専用ファブリックシート表皮
- チルトステアリング
- 運転席シートリフター
- シルバーインサイドドアハンドル
- 助手席シートヒーター(2WD)
を標準装備。
安全装備としては「スズキ セーフティ サポート」から衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」を標準採用とし、ベースモデルよりもワンポイントの上級感を高めた特別仕様車となっている。
25周年記念ハイブリッドFXリミテッドのエクステリア(外装)
出典:スズキ認定中古車
フロントデザイン。ハイブリッドFXリミテッドでは専用となるスモークメッキとスチールシルバーのフロントグリルを標準。
ノーマルではブラックとスチールシルバーを組み合わせたベーシックなグリルだったためワンポイントアクセント的に差別化がなされている。ヘッドライトはノーマルのハロゲンランプでHIDやLEDの設定はなし。フォグランプも同じく非装備。
サイド。ハイブリッドFXリミテッド仕様としてシルバードアハンドルを標準装備。フロントグリルと合わせて特別感を演出した。
足元は14インチアルミホイールを標準装備(※ベースモデルはスチールホイールでアルミホイールの設定は無し)。
出典:スズキ認定中古車
リア。ハイブリッドFXリミテッド仕様としてバックゲート右下に25周年記念を意味する「25th Anniversary」専用エンブレムが付く。
コンビランプはノーマルモデルでもインナーメッキを用いて質感をアップ。ストップランプはLEDとなる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはR06A型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は52ps(38kW)/6500rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/4000rpm。
マイルドハイブリッド仕様の「マイルドハイブリッドFX」ではこれにISG(モーター機能付発電機)と専用リチウムイオンバッテリーがプラスされる。モーターの最高出力は2.3kW、最大トルク50N・m。トランスミッションは副変速機内蔵のCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。
安全技術としてはエマージェンシーストップシグナルとEBD付4輪ABS+ブレーキアシスト、横滑り防止装置のESP(車両走行安定補助システム)を標準装備。
自動ブレーキ関連ではハイブリッドFXリミテッド仕様としてベースモデルで本来オプション設定となっていた「デュアルセンサーブレーキサポート」を標準採用。フロントガラスに設置した2つのセンサーで前方の歩行者や自動車を感知。
近距離や夜間の検知に強いレーザーレーダーと歩行者認識が可能な単眼カメラの組み合わせでコンパクトなシステムとした。また、先代には無かったハイビームアシストも新たに追加されより魅力的なシステムとなっている。
デュアルセンサーブレーキサポートでは前方衝突警報機能、前方衝突軽減ブレーキアシスト機能、自動ブレーキ機能により衝突軽減をアシストするほか、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車お知らせ機能、ハイビームアシスト機能が備わる。
さらにデュアルセンサーブレーキサポートのオプション選択時に標準搭載される「ヘッドアップディスプレイ」もセットで採用。
ステアリングの前方にスピードメーターとは別の専用ディスプレイを設けてそこに車速や前方衝突警報/自動ブレーキ作動状況、車線逸脱警報、シフトポジション、凍結警告などを表示することでドライバーの視線移動を少なくし安全運転に配慮した。
25周年記念ハイブリッドFXリミテッドのインテリア(内装)
インパネ。ハイブリッドFXリミテッド仕様として専用のネイビーパールとシルバーを組み合わせたインパネを採用。ネイビー独特の落ち着きあるカラーリングとなる。エンジンスタートはプッシュスタート式。
このほかハイブリッドFXリミテッド仕様としてステアリングにはチルトステアリング機構を標準装備とした。ただし、本革巻ステアリングホイールとはならず、ウレタンステアリングホイールとなる。
スピードメーターはノーマルと同じくタコメーター付き。スピードメーターとなりの液晶パネルは「マルチインフォメーションディスプレイ」で燃料計、外気温、シフトポジションのほかマイルドハイブリッドの状態も表示する。
フロントシートはベンチシートタイプ。ハイブリッドFXリミテッド仕様として専用ファブリックシート表皮を採用した。このほかインサイドドアハンドルもシルバー塗装仕様となる。
リアシート。スライド機構付き。
リアドア両側には軽自動車初となるアンブレラホルダーを標準装備とした。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
ラゲッジルーム開口部は上述のとおりコンビネーションランプがバンパー部に移動したことにより軽ワンボックスのような大開口部を実現。おおきな荷物を載せる際に重宝する。
25周年記念ハイブリッドFXリミテッドの評価
6代目ワゴンRに設定された特別仕様車、「ハイブリッドFXリミテッド」は標準モデルの最上級となるハイブリッドFXをベースにクロームメッキグリルやシルバードアハンドル、専用エンブレムにアルミホイール、ネイビーカラーのインパネ、専用シート、デュアルセンサーブレーキサポートなどワンポイントのアクセントと安全装備を与えよりスタイリッシュ感と利便性、安全性を高めた特別仕様車である。
顔つきがことなるFZやスティングレーと比較するとベースがベースのため強い個性は無いのだが、それゆえのベーシック感は標準モデルならではでこの手のモデルが好みの人にとってはちょっとした上級装備が嬉しい1台といえよう。
中古市場では特別仕様車ゆえにタマ数が少ないが、標準仕様よりも機能的かつスタイリッシュな装備による特別感があるため、ノーマルタイプのワゴンRを探していて中古車屋で見かけることがあったら気にしてみてほしいモデルである。
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