モコは日産のワゴン型軽自動車。スズキのMRワゴンのOEMモデルである。ここでは2代目のMG22S型の2006年2月~2009年5月までを前期とし、これをを扱う。
日産 2代目・モコとは?
2006年2月にフルモデルチェンジを行った2代目モコ。
先代と同じくスズキからのOEM供給を受けての販売となり、初代モコではグリルのみの変更点だったが、この2代目モコではグリルに加えてヘッドライトとバンパーも専用品となり明確な差別化がなされた。さらに内装もスズキ版とは異なる日産専用内装を設定し、上級なイメージとしているのが特徴だ。
エクステリアは日産らしさを強調しつつもスタイリッシュさも追求。加えて可愛らしいさもプラスするなどOEMモデルでありながら手が込んだフロントグリル、バンパーにフォグランプ、ヘッドライトもMRワゴンとは異なる専用品が与えられる。
フロント以外では躍動感あるウエストラインにエモーショナルなボディサイドの造形、幅広感を演出するウインドウグラフィックスとリヤコンビネーションランプなど先代よりもエクステリアにこだわりがプラスされている。
インテリアでもおしゃれで居心地のいい空間をテーマに2色のインテリアカラー、大型スピードメーターにシフトポジションをメーター中央部に配置、操作しやすいインパネシフトの採用やモコのロゴ入りシート表皮&ドアトリムなどインテリアでも質感の向上とスズキとの差別化がなされている。
便利装備としてはリアシートにシートスライド機構とリクライニング、ワンタッチフォールダウン機能を持たせ使い勝手を向上。伝統のシートアンダーボックスの採用や多数な収納スペースを用意。このほかインテリジェントキーもしくはリモートコントロールエントリーシステムをグレード別に初採用。
エンジンは先代に引き続きタイミングチェーンを採用したオールアルミ製のVVT付きK6A型DOHC自然吸気エンジンを全グレードに採用。
上級グレードでは街中で扱いやすいインタークーラー付きのマイルドターボを設定し、パワフルな加速を楽しめるようにもした。サスペンションにはフロントがストラット式フロントサスペンション、リアがアイソレーテッド・トレーリング・リンク式を採用。
快適装備としてはインパネ上部にアッパーベントを全グレードで標準採用。マイルドな間接風で快適に過ごせ、かつ前後席を均一に冷暖房を可能とした。さらに軽自動車初の消臭シートに吸音・消臭天井も全車で標準採用。
安全装備としては盗難防止のセキュリティーアラームとABS、運転席2ステージロードリミッター付プリテンショナーシートベルト、助手席ロードリミッター付プリテンショナーシートベルト、運転席・助手席SRSエアバッグシステムを全グレードに標準装備とした。
モコ(MG22S)とMR(MF22S)ワゴンとの違い
日産の2代目モコ(MG22S)とスズキ・2代目MRワゴン(MF22S)とではフロントのデザインが明確に異なる(サイドビューやリアはほぼ同じ)。
初代モコの時からフロントデザインは日産らしさを強調したデザインとなっているが、2代目でもそれを踏襲。より日産らしさを強めつつつスタイリッシュさや可愛らしさを強調しており、デザインはスズキ版よりも良くなっている。実際、当時の販売台数も本家よりOEMのモコの方が売れたぐらいであった。
また、内装でも日産専用となるモコのロゴ入りシート表皮やドアトリムクロスなどが採用されており、この点でもかなり手が込んだOEMモデルとなっている。
グレード構成も一番安いノンターボ、上級のノンターボ、最上階のターボモデルの3種類にそれぞれFFまたは4WDの組み合わせでまったく同じだった。

2代目モコ・エアロスタイル(オーテックジャパン仕様)
ただし日産のモコは2007(平成19)年10月にオーテックジャパンによるカスタムモデル、「エアロスタイル」、2008(平成20)年1月には「ショコラティエエディション」が追加されるなど、特別感やスタイリッシュ感をアップさせた特別仕様車が追加されている。その点もスズキ版にはないOEMな日産2代目モコのポイントである。
その一方でMRワゴンのカスタムモデル、MRワゴンWitに直接相当するグレードは設定されておらず、Wit専用の純正ディスチャージヘッドランプや専用グリル、アルミホイールなどはモコでは非設定であった。
2代目・前期モコのグレード一覧 S、S FOUR、E、E FOUR、G、G FOUR、エアロスタイル、ショコラティエセレクションの違いなど
2代目前期モコのグレード展開はエントリー「S」エントリー4WD仕様「S FOUR」、上級グレード「E」上級4WD仕様「E FOUR」、上級ターボ搭載「G」、ターボ搭載4WD仕様「G FOUR」の6種類。
これ以外に特別仕様車としてオーテックジャパンがてがけた「エアロスタイル」、「ショコラティエセレクション」が設定されていた。
S
2代目モコのエントリーグレード。MRワゴンではGグレードに相当する。
Eグレードよりも装備を簡略化し、価格を抑えたベーシックなモデル。
Sグレードではエアコンがマニュアル式エアコン。電波式キーレスとABSを標準装備する(※スズキの前期MRワゴンではABSはオプション設定)。
S FOUR
Sグレードの4WD仕様版。日産ではFOURという名称が与えられ、1グレードとして設定されていた。
駆動方式が4WDになるほか、寒冷地仕様(前席シートヒーターなど)が標準装備となる。
E
2代目前期モコの上級グレード。MRワゴンではXグレードに相当。Sグレードよりも快適装備が充実する。
Eグレードでは快適装備のエアコンがフルオートエアコンとなり、キーフリーシステムやオートライト、6スピーカーシステムを標準装備する。
E FOUR
Eグレードの4WD仕様版。
駆動方式が4WDになるほか、寒冷地仕様(前席シートヒーターなど)が標準装備となる。
G
2代目モコのターボ搭載グレード。MRワゴンのTグレードに相当。グレード名が日産ではGグレードがターボ仕様な点に注意。
Eグレードの装備にターボエンジン(※60馬力のMターボ)を搭載。走りを向上させたモデル。
エクステリアではEグレードに追加で
- Gグレード専用穴あきグリル
- フォグランプ
- 14インチアルミホイール
などを標準装備する。
G FOUR
Gグレードの4WD仕様版。
駆動方式が4WDになるほか、寒冷地仕様(前席シートヒーターなど)が標準装備となる。
特別仕様車 エアロスタイル
2007年10月設定の特別仕様車。オーテックジャパン仕様。
Eグレードとターボ搭載Gグレードをベースにエアロパーツでカスタムし、スポーティな雰囲気を与えた特別モデル。
エアロスタイルのエクステリアには
- フロントプロテクター
- サイドシルプロテクター
- リヤアンダープロテクター
- カラードフロントグリル
- キッキングプレート
- フォグランプ
でエアロパーツなどによるカスタムを施しつつ、お買得な価格帯とした。

特別仕様車 ショコラティエセレクション
2008年1月設定の特別仕様車。
EとE FOURグレードをベースにインテリアにシックで質感のあるブラック&ブラウンを組み合わせた内装色を採用した特別仕モデル。
ショコラティエとはフランス語で「チョコレート職人」の意味。ショコラをイメージした専用内装を与えることでノーマルとは異なる室内の雰囲気を与えた。

特別仕様車 エアロスタイル プラスナビ
2008年9月設定の特別モデル。エアロスタイルをベースにフラッシュメモリータイプの専用ナビゲーションを搭載したモデル。
エアロスタイルプラスナビでは
- 専用フラッシュメモリーナビゲーションシステム
(5.8インチワイド液晶モニター、タッチパネル、ワンセグチューナー、
CD、AM/FM電子チューナーラジオ、フロントAUX端子)
を特別装備としつつ、お買得な価格設定となっていた。
2代目・前期モコのエクステリア(外装)
フロントデザイン。スズキ版は丸目が全面に出たオバQみたいな顔つきのフロントまわりだったが、日産版では同年代のマーチやノートに通じるシャープでキリッとした顔つきに変更されている。
ヘッドライトはもちろん、グリル周りも中央部を境に左右対称の専用グリルが与えられ、加えてバンパーもヘッドライトやグリルに似合う専用品とし、日産らしさを表現している。
MRワゴンはキュートさを全面に出したデザインだったが、日産では可愛らしさや愛嬌に加えてスタイリッシュさも表現している。主に若い女性を狙ったデザインであるが、男性が乗ってもは悪くはない。
ちなみにスズキのMRワゴンはこんな感じ。
人によってはスズキ版の方が取っつきにくいデザインに見える。実際、本家スズキよりも日産版の方がよく売れたらしい。これは某ダイハツとトヨタのOEMモデルの関係に似ている。
サイドから。先代の面影は残るものの、どちらかと言うとワゴンRのようなワゴン型となっている。
ベーシックなSとEグレードではフルホイールキャップ。ターボのGグレードではアルミホイールを標準装備。
リア周りはエンブレムが日産になっている程度で、変更は無い。
エンジン・機能装備・自動ブレーキなど
搭載されたエンジンはベースと同じく、K6A型直列3気筒DOHCの自然吸気エンジンとそのターボ仕様。自然吸気エンジンの最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
ターボについては60馬力のMターボ仕様で、最高出力は60ps(44kW)/6000rpm、最大トルクは8.5kg・m(83N・m)/3000rpm。
トランスミッションは4ATのみで駆動方式はFFか4WD。なおターボモデルのグレード名は先代が「T」だったのに対し、2代目以降は「G」グレードとなっている。
安全装備は運転席&助手席エアバッグ、ABSを全グレードに標準装備する。
2代目・前期モコのインテリア(内装)
インパネ。このあたりはMRワゴンとほぼ同じデザイン。大きなベージュインパネと機能性の高いインパネアンダートレイが特徴で、シンプルながら質感も使い勝手も先代より良くなった。
Sグレードのみマニュアル式エアコンで、EとGはフルオートエアコンとなる。
スピードメーターは非常にシンプル。女性を意識してタコメーターなど余計なものはつけず、シンプルな1眼メーターとしわかりやすさを重視している。スピードメーター中央にはシフトポジションを大型液晶で表示する。
フロントシートはベンチシートタイプ。先代ではモデル後半からベンチシートタイプが追加されたが、2代目では最初からベンチシートだ。内装色は女性ユーザーを意識して、明るいオレンジ系配色になっている。
これはスズキ版には無い日産専用の内装でこの部分も差別化がなされた。なお、後に追加される「ショコラティエ」グレードでは黒系のシートも設定されたする。
リアシート。2代目になって足元が広くなった。スライド機構付きで足元の広さとラゲッジルームを調節可能だ。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。
2代目・前期モコの評価
2代目モコは、先代の日産らしいスタイリッシュな専用装備でMRワゴンよりも差別化し、より個性を強調したMRワゴンの兄弟モデルである。
スズキ版がかなりファニーフェイスとなっているのに対し、日産版ではオーソドックス感も強く日産の販売網と組み合わせてよく売れたモデルであった。
さらに2代目モコではオーテックジャパンによる特別仕様車の「エアロスタイル」が2007年10月に追加設定となり、より精悍さとスタイリッシュがアップしたモデルも追加されている。

こちらは外装のみの変更だがシルバー塗装のカラードグリルにアンダープロテクターパーツをまといベースのイメージはそのままにオーテックジャパンによるほどよいカスタムが行われたモデルでスズキ版にはない日産らしさを強調した特別仕様車となっている。
後期モデルではボディカラーの追加やエアロスタイル+ショコラティエを組み合わせた特別モデルなど、よりグレード展開が増えていく。

2代目モコの中古価格は前期・後期ともかなり安価 足車としても買いやすい
2代目モコは、前期と後期の両方とも中古車としてはすでに10年越えのモデルなためかなり手頃なタマが増えている。
人気がスライドドア付きのスーパーハイトワゴンに遷移していることも影響し、かつてほどの人気も薄れ需要もさほど無いことから安価になりやすい。
燃費は4ATゆえに最新のエコモデル(9代目アルトや2代目ミライースなど)に比べると劣る部分があるが、このあたりは年式が年式だけに致し方ない部分かも。
同じモデルの2代目MRワゴンを買うのであれば、タマ数は少ないが個性的なデザインが優秀なオーテックジャパンのカスタムモデル(エアロスタイル等)もオススメ。安価だけど見た目は可愛く、内装もそこそこ良い中古車を探している人に嬉しい1台である。
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