ムーヴコンテはダイハツのワゴン型軽自動車。ムーヴコンテカスタムはそのスポーティーモデルである。本稿ではデビュー当初の2008年8月～2011年5月までを前期型とし、これを扱う。
出典：Goo-net
ダイハツ ムーヴコンテとは？
2008年8月に登場したダイハツのムーヴコンテ。
当時のCMの「カクカクシカジカ 四角いムーヴ」というキャッチフレーズが耳によく残るこの車は、その言葉通りムーヴ系統でありながら直線を基調としたボディラインが最大の特徴である。
シンプルだけど合理的なデザインは、普通車でいうところのトヨタ・初代Bbに通じるところがあり、軽自動車という点も相まって(ムーヴやワゴンRなど独特のいかにも感があるデザインを好まない)女性ユーザーに受けが良かった。
パッケージング的にはスズキの初代アルトラパンの全高を少し高くしたようなボディフォルムで、ベーシック感が非常に強く万人受けしそうなデザインとなっている。
シンプルだけど合理的なデザインは、普通車でいうところのトヨタ・初代Bbに通じるところがあり、軽自動車という点も相まって(ムーヴやワゴンRなど独特のいかにも感があるデザインを好まない)女性ユーザーを狙ったものであった。
パッケージング的にはスズキの初代アルトラパンの全高を少し高くしたようなボディフォルムで、ベーシック感が非常に強く万人受けしそうなデザインとなっている。
ホイールベースは2,490mm、室内長は2,000mm、室内高は1,350mmを確保し、コンパクトなボディデザインながら余裕ある室内空間を実現している。
インテリアでもプレミアムソファーシートや運転席パワーエントリシートを採用し居心地の良さを追求。開放感のある前席や優れた静粛性とソフトな乗り心地を実現した。また、インテリアにはシルバーのカラーアクセント、メッキパーツ、スピードメーターは白色３眼式メーターの採用で精悍さを強調した。
出典：ガリバー
エンジンはツインカムDVVT・3気筒エンジン「KF-VE型」とツインカム3気筒ターボエンジン「KF-DET型」の２種類を設定。世界初の「インプットリダクション方式3軸ギヤトレーン構造」を採用したCVTにより低燃費も実現した。
安全面でも衝突安全ボディのTAFを採用し、国内及び欧州衝突安全基準を余裕をもってクリア。世界最高水準の前面フルラップ55km/h、前面オフセット64km/h、側面55km/h、後面55km/hの衝突実験においても優れた安全性を確保している。
便利装備としては助手席大型シートアンダートレイ、助手席アッパーボックスなどを採用し実用性をアップ。イモビライザー付きキーフリーシステムをグレード別に採用。
リバース連動ドアミラーを上級グレードにオプション設定し、「運転席シートリフター&チルトステアリング&アジャスタブルショルダーベルト」をセットにした「アンカーアジャスタブルパック」も上級グレードに標準装備、一部グレードでオプション設定とした。
ムーヴコンテカスタムとは？標準ムーヴコンテとの違い
ムーヴコンテはデビュー当初からダイハツの他社種にも見られるようにノーマルタイプとカスタムタイプの2種類を設定。
出典：ガリバー
本稿で扱うのは後者のカスタムモデルで、ムーヴカスタムやタントカスタムのようにメッキパーツを用いた専用グリルにハイロー独立の専用ヘッドライト。アルミホイールに専用コンビランプなどノーマルよりも外観を精悍に仕立てたモデルである。
内装でもブラック系のシート表皮にタコメーター付きの専用スピードメーターなどの採用で上級感を演出。加えてノーマルでは設定のないターボエンジングレードを用意し、動力性能も高めたまさに「カスタム」にふさわしい１台である。
ムーヴコンテカスタムの場合はノーマルがベーシック感の強いモデルだっためカスタムパーツにより精悍さが際立ち、万人受けしやすいモデルとなっている
前期型ムーヴコンテカスタムのグレード カスタムX,カスタムG,カスタムRSの違い
前期型ムーヴコンテカスタムのグレード展開は下から順に「カスタムX」、「カスタムRS」の２種類。
特別仕様車の設定は１種類もなく、基本グレードのみ。
カスタムX
ムーヴコンテカスタムのエントリーグレード。自然吸気エンジン仕様で、RSよりも価格が安い。ただし装備は標準ムーヴコンテよりも上級で、内外装の質感が高い。
エクステリアではカスタム専用ディスチャージヘッドランプ(ハイロー独立式)、フォグランプ、エアロバンパー、LEDサイドターンランプ付きドアミラー(リバース連動タイプ)、サイドアンダースポイラー、アルミホイール、リアスポイラー、クリアーテールランプを標準装備。
インテリアではブラックインテリアにメッキインナーハンドル、メッキエアコンレジスターノブ、タコメーター付き３眼式スピードメーター。
快適装備ではフルオートエアコン、IR&UVカットガラス(フロントウィンドウ)、UVカットガラス(全面)、ルーフアンテナ、照明付きバニティミラー、キーフリーシステムを標準装備。
このほかにパワステ、EDB付きABS、パワーウィンドウ、集中ドアロック、プライバシーガラス、を標準する。
カスタムRS
前期ムーヴコンテカスタムの上級ターボ仕様車。ターボエンジンにより走りが良くなり、装備面もXグレードより良くなる。
エクステリアでは１５インチアルミホイール、ローダウンサスペンション、フロントスタビライザー(2WDはリアも)、フロントベンチレーテッドディスクブレーキは4WDに標準装備。
インテリアではモモ(MOMO)の本革巻きステアリング、インパネミスティックイルミネーションを標準装備。
快適装備ではアジャスタブルパック(運転席シートリフター、チルトステアリング、アジャスタブルショルダーベルトアンカー)、「運転席パワーエントリーシート」がRSに標準装備となる。
ムーヴコンテカスタムL575SとL585Sとの違い
ムーヴコンテカスタムL575SとL585Sの違いは駆動方式。FFモデルがL575Sで、L585SはFFベースの4WDとなる。ただし、ジムニーなどのクロカン4WDとは異なりビスカスカップリングを用いたオンデマンド式の4WDとなっている。
そのため常時4WDではなく、前輪と後輪の回転差が生じたときのみ4WDとなる生活四躯仕様となる。
エクステリア
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フロントデザイン。カスタムでは専用グリル(メッキ付き)、専用ヘッドライト、専用フォグランプ付きバンパーが与えられノーマルよりもスタイリッシュな顔つきとなっている。
出典：Goo-net
特にヘッドライトはハイローが独立した異型ヘッドライトとなっており、かつディスチャージヘッドライトも標準搭載で夜間での視界向上に一役買っている。
また、フォグランプも軽自動車では見られない横長のスクエア型でこちらもスタイリッシュなデザインとなっている。
出典：Goo-net
サイド。ムーヴコンテは４代目ムーヴのプラットフォームを流用しているが、ボディスタイルは新設計で極端に異なる。
４代目ムーヴではタマゴ型のフォルムで居住空間を広くとった挑戦的なデザインだったが、こちらはスクエアを基調とした合理的かつシンプルなデザイン。ムーヴコンテカスタムではターンランプ付きドアミラーを標準装備。
自然吸気エンジンのカスタムXグレードでは１４インチアルミホイールで、タイヤサイズは155/65R14。
ターボエンジン搭載のRSグレードでは１５インチアルミホイールで、タイヤサイズは165/55R15。
出典：ダイハツ認定中古車
リア。ムーヴコンテカスタムでは専用のクリアーテールを装着。ノーマルよりもスタイリッシュなリアビューとなっている。加えてルーフスポイラーも標準装備。リアゲート左側には「CUSTOM」エンブレムが付いている。
ちなみにブレーキランプはLEDではなく通常の電球タイプ。後期モデルでは純正でLEDタイプとなる。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはKF-VE型３気筒DOCH自然吸気エンジンとKF-DET型３気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンの２種類。
自然吸気エンジンは最高出力58ps(43kW)/7200rpm、最大トルク6.6kg・m(65N・m)/4000rpm。
ターボエンジンでは最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.5kg・m(103N・m)/3000rpmを発生する。
このターボエンジンはノーマルのムーヴコンテには設定されておらず、ムーヴコンテカスタムのみとなっている。トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFまたは4WD。
安全装備として運転席＆助手席エアバッグとEBD付きABSを標準装備する。
前期型ムーヴコンテカスタム(L575S/L585S)の持病 故障しやすい箇所
前期型のムーヴコンテカスタムにはいくらか有名な持病的な故障しやすい箇所がある。
オイル漏れ、オイル消費、オイルリング固着
まずは定番のオイル漏とオイル消費れ。ムーヴコンテに限らず初期のKF型エンジンを搭載するダイハツ車（４代目ムーヴカスタム、２代目タント、エッセ）はかなりの確率でオイル漏れが発生しやすく、ヘッドカバーとシリンダーヘッドの間からオイルが漏れやすい。
ヘッドカバーパッキン（ガスケット）の交換で修理できるが、漏れを放置するとオイルが想像以上に減ってエンジンにダメージを与え、最悪エンジンブローの原因となるので注意が必要だ。
また、オイル交換もこまめにやっていないと初期型のKFエンジンでは有名な「オイルリング固着」が発症している可能性も。これはオイルリングがスラッジで固着し、オイルを大量消費する事態に発展する。オイル消費が激しい場合は対策品ピストンへ交換修理が必要で、費用がかさむケースも。
ウォーターポンプ
次にウォーターポンプ。これも初期のKF型エンジンでは有名な故障箇所で、後に対策品になるほど壊れやすかった。ウォーターポンプも放置するとエンジンが冷却できなくなり、オーバーヒートとなって最悪エンジンブローに至るケースも。
エンジンマウント
最後にエンジンマウント。KF型エンジンではエンジンマウントのゴムの劣化が激しく、駄目になってくると運転席や助手席側へ不快な振動音が車内に入ってくる。ゴムがちぎれてしまうと車検も合格しないため、これも確認ポイント。
前期ムーヴコンテカスタムの中古車で注意したいポイント
前期型の中古ムーヴコンテカスタムを買う場合はヘッドカバーからにじみや漏れがないか、ウォーターポンプから異音がしないか、あるいは交換済みかを確認することをオススメする。
ムーヴコンテカスタム ターボ車の見分け方
ムーヴコンテカスタムには標準ムーヴコンテには非設定のターボエンジン搭載モデルがある。ただし一昔前の軽自動車とは異なり、ボンネットにエアダクトが無いため見分けが少しむずかしい。
ムーヴコンテカスタムRS(ターボ仕様)前期の１５インチアルミホイール
ムーヴコンテカスタムX(ターボなし)前期の14インチアルミホイール
ターボのRSグレードでは１５インチアルミ（こちらも新デザイン）となる。タイヤサイズは165/55R15。
ターボエンジンを搭載するRSグレードはXグレードとは差別化されたデザインの15インチアルミホイールを履く。
そのため外観で見分ける場合は15インチアルミホイールか、14インチアルミホイールなのかが１つのポイント(※ただし純正状態に限る)。
ムーヴコンテカスタムRS(ターボ仕様)後期の１５インチアルミホイール
ムーヴコンテカスタムG(ターボなし)後期の14インチアルミホイール
なお、このターボ専用１５インチアルミホイールだが後期モデルではデザインが変更される。またアルミホイールも新設定のGグレードで新デザインとなり、Xグレードではホイールキャップ化された。
もうひとつはインテリア。RSでは専用のモモ社製本革巻きステアリング(モモステアリング)が標準装備となる。
これが付いていればターボ仕様で、ダイハツのメッキオーナメント付きウレタンステアリングであればターボ無しとなる。
ただし後期モデルの2012年4月マイナーチェンジ以降はモモステがオプション設定に変更されたため、後期モデルの場合はインテリアでの判別が少々難しくなる。
インテリア
出典：ダイハツ認定中古車
インパネ。ノーマルのムーヴコンテではベージュを基本に明るいポップな内装としていたが、ムーヴコンテカスタムではブラックを基調とした落ち着いた内装色となる。
出典：ダイハツ認定中古車
エアコンはオートエアコン式で、ダイヤル左にある液晶パネルで状態をデジタル表示。エンジンスタートはプッシュ式でイモビライザー付き。
最上級のRSグレードではモモ製の本革巻ステアリングホイールが付く。
スピードメーターはタコメーター付きの３眼タイプ。
フロントシートはベンチシートタイプ。ムーヴコンテカスタムではブラックシート表皮＋ホワイトのアクセントカラーでクールかつ洗練された落ち着き感を演出。シートはフランス人デザイナーが手がけた「プレミアムソファシート」で座り心地にもこだわった。
また、軽自動車初となる「運転席パワーエントリーシート」の採用により、シートスライドを電動化。RSに標準装備でXグレードではオプション設定されていた。
リアシート。スライド機構は付かないが、フロントシート同様に立派なつくり。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。タントなどに比べると絶対的な広さは無いが、必要十分な広さは確保されている。
まとめ
ムーヴコンテカスタムの前期型は普通のムーヴとは違うスクエアなスタイリングに、スポーティーな外観が合わさった軽自動車だ。
軽自動車という枠の中で外観のバランスがとれおり、普通車からの乗り換えでも抵抗は薄いだろう。ちょうどトヨタの初代Bbを小さくしたようなデザイン。
後期型ではフロントグリルが刷新され、メッキパーツを多用したより精悍さが際立ったデザインとなるため、より派手さを求めるなら後期型がオススメである。
逆にそこまで派手さが不要なら前期型がちょうどいいだろう。ただし、後期型ではミライースの技術を適用するため燃費がアップする。この点は前期型のネックかもしれない。
前期型は登場からかなりの年数が経過し、先進技術の面では不利な部分もあるが、派手さを嫌うそこそこスタイリッシュなスタイリング重視の人には選択肢になる１台。
中古相場においても近年は年数経過でかなり手頃な価格帯になってきた。セダンタイプでスクエアボディは万人受けしやすいため、中古市場でも人気のようである。
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