MRワゴンはスズキのワゴン型軽自動車。本稿では初代MF21系の2004年2月マイナーチェンジを後期型と定義し、これを扱う。
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スズキ 初代・MRワゴンとは?
2001年12月に登場した初代MRワゴン。当時はその前のコンセプトカーに出品された時に注目を浴びた1台だった。MRというと、車好きなら”ミッドシップレイアウト”を連想する。
MRワゴンはコンセプトカーとして発表されたときは、三菱・アイのように後輪の直前にエンジンを置いたミッドシップレイアウトの車として発表された。だが市販化した際に、コストの問題でFFに変更された。MRはその名残で「マジカル・リラックス」になっている。
デザインは発売された当時は斬新なデザインで、ワゴン型のボディにトヨタ・エスティマのような曲線のフロントが特徴。
それまでワゴン型というとワゴンRやムーヴのようにボンネットがある程度出っ張って、その後ろから居住空間があるデザインだけで、どちらも似たり寄ったりなデザインだった。
そのような中で独特のフォルムを持った初代MRワゴンはかなり注目を浴びた。MRワゴン自体はムーブラテやムーブコンテに相当するワゴンRの兄弟車種ではないが、ワゴンタイプなので実質は親戚みたいな車種になるだろう。
後期型・初代MRワゴンとは?前期との違いや改良点など
そのMRワゴンは2004年2月にフロントデザインと内装の変更を伴うビッグマイナーチェンジを行い後期型となった。
後期型・初代MRワゴンではバンパー&グリルのデザインを変更。より上品なデザインとした。ボディカラーも4色の新色を追加設定し全10色とした。
このほかインテリアではそれまでのセパレートシートからベンチシートに変更。
さらにフロントドアトリム形状の変更で室内幅を35mm拡大。加えてリアシートの前後スライド幅を30mm後方に拡大し135mmに設定。後席の居住性や使い勝手など利便性を向上させた。
初代・後期MRワゴンのグレード一覧 G、GS、GL、ターボT、スポーツの違いなど
初代MRワゴンのグレード展開は廉価「G」、ミドル「GS」、上級「GL」、上級ターボ仕様「ターボT」、最上級ターボ搭載スポーティ仕様「スポーツ」の5種類。
このほか特別仕様車には「Mエディション」や「Aリミテッド」などが設定されていた。
G
初代後期MRワゴンの廉価グレード。装備を簡略化し価格をおさえた一番安いグレード。
エクステリアはリアのプライバシーガラスが無し、手動式・無塗装ドアミラー、ホイールキャップなど簡素な外観が特徴。
インテリアも単眼式メーターにオーディオ無しで簡素化される。
ただし快適装備は一通り付いており、キーレスエントリー、マニュアル式エアコン、パワーウィンドウ、パワステなどを標準装備する。
運転席&助手席エアバッグが付くが、ABSはオプション設定。
GS
初代・後期MRワゴンのミドルグレード。Gグレードよりも若干装備が良くなる。
GSグレードでGグレードに追加で
- UVカット断熱機能付きリアプライバシーガラス
- 1DIN CD一体AM/FM電子チューナーラジオ(デジタル時計組込み)
- 2スピーカー
- 電動格納式リモコンカラードドアミラー
- ブラックドアサッシュ
- カラードアウトサイドドアハンドル
などで快適性をアップさせたグレード。
GL
初代・後期MRワゴンの上級グレード。自然吸気エンジンの中では最も装備が豪華なグレード。
GLグレードではGSグレードの装備に追加で
- MD・CDデッキ(2DINタイプ)
- タコメーター付きスピードメーター
- 6スピーカー(フロント4、リア2)
- 13インチアルミホイール
など快適装備がさらに拡充される。
ターボT
初代・後期MRワゴンのターボ搭載上級グレード。GLグレードに追加で60馬力仕様のターボエンジンを搭載し、低燃費とパワーを両立した走りが特徴。
ターボTグレードではGLの装備に追加で
- ハイマウントランプ内蔵ルーフスポイラー
- 穴あきボンネット
などを採用し、スタイリッシュな外観となる。
スポーツ
初代・後期MRワゴンの最上級ターボ搭載スポーツグレード。ターボTよりも高出力な64馬力ターボエンジンやスポーティな専用内外装が与えられる。
MRワゴンスポーツの内外装は
- ダクト付きボンネット
- ブラックインナーヘッドライト
- スポーツ専用バンパー
- 専用リアバンパー
- サイドアンダースポイラー
- アルミホイール
- ルーフエンドスポイラー
- ブラック内装
- 本革巻ステアリングホイール
- タコメーター付きスピードメーター
など専用品でスポーツ志向のMRワゴン。
特別仕様車 Mエディション
2004年12月設定の特別仕様車。
廉価グレード「G」グレードをベースに内外装の質感とファッション性を向上させたモデル。日産モコにはブランベージュセレクションとしてもOEM供給された。
Mエディションでは
- 専用インテリア
- 専用インストルメントパネル
- 専用シートクロス
- 専用デザインの13インチアルミホイール
- メッキアウターハンドル
- ブルーリフレクター式ハロゲンヘッドライト
- 2DIN MD・CD一体AM/FM電子チューナーラジオ(専用デザイン)
- 6スピーカー(フロント4+リア2)
- タコメーター付きスピードメーター
- ドアトリムクロスをホワイトとベージュでコーディネート
など快適装備やファッショナブルな内装が特徴のモデル。
特別仕様車 Aリミテッド
2005年4月設定の特別仕様車。
「A-LIMITED」はベーシックな自然吸気エンジンのGグレードをベースとし、MRワゴンスポーツのようなスポーティーな外観に「フォグランプ」、「ブラックインテリア」を標準装備とし内外装でスポーティに仕立てた特別モデル。
Aリミテッドではエクステリアに
- フォグランプ内蔵専用フロントバンパー
- フロントメッキグリル
- サイドアンダースポイラー
- ルーフエンドスポイラー
- 14インチアルミホイール
- ブルーリフレクターヘッドランプ
- メッキドアハンドル
内装では
- ブラックインテリア
- 上級仕様のCD/MDステレオ&6個スピーカー
- 革巻ステアリングホイール
- 一部シルバー塗装のドアハンドル&パワーウィンドウスイッチ&インパネ
などを採用。黒基調にシルバー加飾でスポーティー感を演出したモデルとなっている。
初代・後期MRワゴンのエクステリア(外装)
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フロントデザイン。前期型ではオーソドックスに小さく横長の開口部を持っていたが、後期型ではこれに横溝を入れ、バンパー端まで溝を拡大した。
これにより前期型のベーシックな感じから、ちょっとだけ上品な外観となり、タマゴ型のボディと合わせて見た目が良くなった。
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サイドから。このあたりは特に変更点はない。足元は13インチでグレードによりホイールキャップまたはアルミホイールが付く。
最上級のMRワゴンスポーツやダムドバージョンのみ、14インチアルミホイールとなる。
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リア。こちらも変更点はない。フロントグリルのデザイン変更はあったものの、リアコンビランプはそのまま旧式の(レンズカットタイプ)で、ちょっと見た目が残念だ。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはK6A型3気筒のNAとターボの2種類の設定。
ただしターボモデルはMターボ(マイルドターボ)という出力よりも燃費重視に振ったセッティングの60馬力ターボとなる(最高出力64馬力のハイプレッシャーターボはスポーツモデルのMRワゴンスポーツに設定されている)。
自然吸気エンジンの最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
ターボエンジンはインタークーラーレスで最高出力は60ps(44kW)/6000rpm、最大トルクは8.5kg・m(63N・m)/3000rpm
トランスミッションは全グレードで4ATのみ。駆動方式はFFまたは4WDだ。
安全装備は運転席&助手席エアバッグは全グレードに標準装備だが、ABSは一部グレードでオプション設定となっていた。
初代・後期MRワゴンのインテリア(内装)
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インパネ。後期型ではインパネのデザイン(カラーリング)が変更され、ベージュ系を貴重とした明るい内装となった(ボディカラーによっては従来のブラウン系もある)。
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フロントシートはベンチシートタイプ。前期ではセパレートタイプだったが、後期型ではベンチシートに置き換えられた。またシート表皮も一新し、オレンジ色またはブルー色が組み合わされる。
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リアシート。MRワゴンは初代からリアシートのスライド機構を備えるが、後期型では後方に30mmスライド量が拡大。全体で135mmのスライド量となり、足元空間を確保しやすくなった。
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ラゲッジルーム。
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リアシートを倒した状態。
初代・後期MRワゴンの評価
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初代MRワゴンの後期型は、上品になったフロントデザイン、ベンチシートと明るい内装が特徴のモデルである。
同年代のベーシックなワゴンRと比較するとかなり個性的な外観をしており、好き嫌いが別れる部分だがこの後の2代目MRワゴンではワゴンRに近いデザインとなってしまったため、上品なグリルを持つ後期型は前期よりも貴重な存在である。
中古市場では登場から年数がかなりたっている関係でかなり安価に購入できるモデルだ。近所を移動する足車としての需要があるだろう。ただし年数経過もあってタマ数は以前よりもかなり減り、希少車の部類に入ってきた。タマによって消耗品や経年劣化による部品交換などメンテナンス費用がかかる場合もあるので少し注意が必要だ。
年式がどうしても気になる人には似たような外観で比較的高年式な「5代目セルボ」がオススメ。5代目セルボは初代MRワゴンのようなフォルムと欧州車のようなフロントデザインが特徴のモデルである。
もし初代のようなタマゴ型フォルムの軽自動車が好みであればそちらも検討されたい。
OEMモデル 日産・初代モコ
なお、日産自動車へは初代モコとしてOEM供給された。
グリルを日産仕様のウィンググリルに変更し、日産らしい外観が与えられておりスズキ版よりもスタイリッシュな雰囲気が特徴のモデル。また専用ボディカラーに「モコグリーン」を設定し、全グレードにABSを標準装備とするなど、安全性も高めていた。
その一方でMRワゴンと同じターボ仕様も設定されるが、MRワゴンスポーツは非設定となるなど、基本グレードのみの展開となっていた。
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