ミニキャブトラックは三菱のトラック型軽自動車。「黒トラ」は6代目U61TおよびU62Tの中期に設定された特別仕様車である。
出典:三菱認定中古車
6代目 三菱・ミニキャブトラックとは?
1999年1月にフルモデルチェンジし6代目となった三菱のミニキャブトラック。
6代目の大きな特徴は先代よりも前輪の位置をかなり前に配置し、キャビンを大きくとったことにある。さらには軽トラでは珍しいハイマウントストップランプの標準装備など他社とは差別化されていた。
パッケージングはセンターミッドシップレイアウトにセミキャブスタイル&ロングホイールベースの組み合わせ。これにより当時トップレベルの安全性と乗員スペース、積載スペースを確保しつつ機能的で力強いデザインとした。
ボディそのものも1998年の軽自動車新規格に伴い先代よりも全長が100mm、全幅が80mm拡大。これによりクラッシャブルゾーンが増大し、当時の乗用小型車と同等レベルの全方位衝突安全性とした。また、センターミッドシップレイアウトによる50:50の重量配分なども実現している。
安全装備としては運転席/助手席SRSエアバッグとABS及び3点式チャイルドシート固定機構付きリヤシートベルトを全グレードにオプション設定。
エンジンは新開発の3G83型を採用。新リーンバーンMVVを全グレードに搭載し優れた低燃費と排ガス中のCO2を削減した。
使い勝手も前輪を前方に配置したことで前席ドアが大型化。これによりスムーズな乗降とし、ゆとりある足元空間を実現した。さらにラジエーターの配置も見直して積載スペースを拡大。使いやすさも向上させている。
センターミッドシップレイアウトと50:50の重量配分、ロングホイールベースや高剛性ボディ構造、後輪トルクアーム式3リンクリジット&コイルスプリングなどの組み合わせで快適な乗り心地を実現。
4WDシステムにはパジェロミニでもお馴染みのイージーセレクト4WDを採用。80km/h以下で走行中においても道路状況に応じて2WD/4WD-Hiの切り替えが容易に行なえるようにした。これに加えて5MT車ではハイローの切替可能な副変速機も採用した。
6代目ミニキャブトラック(U61T/U62T) 中期型の改良点と前期との違い
6代目ミニキャブトラックはデビュー後約2年後の2000年12月にビッグマイナーチェンジを行った(中期型)。外観上からもフルモデルチェンジに近い内容で大幅改良だった。
エクステリアではヘッドライトとフロントバンパーのデザインを変更。さらにフェンダーパネルやフロントグリルを追加することでスタイリッシュなイメージとした。
内装はほぼ同じだがオーディオパネルの位置を変更し、2DINサイズのオーディオを装着可能とした。
装備や機能面ではパーキングブレーキを運転席右側から前席中央部に移動、MT車にはクラッチスタートシステムを採用。
リアサスペンションはバンプラバーの拡大を含めたチューニングにより積載状態での尻上がり感の是正と操作性を向上。
さらに荷台有効長をそれまでの+70mmアップの1925mmとし、積載能力をアップ。加えて亜鉛メッキ鋼板の採用部位の拡大、床下、 ドア・サイドシル内部への防錆剤塗布等の防錆処理をメーカーオプションで設定し、錆に対する耐久性を向上。
外装と機能面や装備面でより魅力を高めたマイナーチェンジとなった。
6代目ミニキャブトラック(U61T/U62T) 「黒トラ」とは?特徴とノーマルとの違い
その6代目ミニキャブトラックの中期型終盤となる2009年10月に設定された特別仕様車が「黒トラ」だ。
黒トラは名前の通り軽トラックでは珍しい「ブラックマイカ」を専用色とし、「メッキグリル」と「非インナーブラックの光輝タイプヘッドライト」の採用で軽トラックでありながらスタイリッシュな外観とした特別仕様車である。
今でこそ軽トラのブラックカラーはハイゼットトラックもキャリィも純正色で選択可能だが、当時のミニキャブトラックには無い純正色で、かつ軽トラック界においても白かシルバーが一般的。
黒色は汚れが目立つ色で日常的に汚れやすい軽トラでは嫌煙されるカラーだった。
そこにあえてブラックカラーを設定することで特別感とスタイリッシュさを演出し、販路拡大を狙うものであった。
同時期にミニカをベースとした「黒ミニカ」、ミニキャブバンをベースとした「黒バン」の全3種類が投入され商用モデルでありながらパーソナルユースでも使えるような外観が特徴であった。
エクステリア(外装)
出典:三菱認定中古車
フロントデザイン。ベースモデルを「Vタイプ(エアコン付き)」とし、黒トラでは非インナーブラックタイプの「光輝ヘッドライト」にメッキグリルを標準装備。
ノーマルではインナーブラックのヘッドライトだっため、メッキグリルを合わさってスタイリッシュな顔つきとなっている。
出典:三菱認定中古車
サイド。このあたりはベースと同じ。軽トラではありえないぐらい珍しい「ブラックマイカ」がキラリと光る。最低地上高は150mmと、軽トラックにしては若干低め。
出典:三菱認定中古車
足元はベースと同じ12インチスチールホイール(鉄チンホイール)。
出典:三菱認定中古車
リア。このあたりも同じだ。
出典:三菱認定中古車
キャブ後部には6代目ミニキャブトラックの特徴であるハイマウントストップランプを標準装備。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3G83型の直列3気筒SOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は35kw(48ps)/6000rpm、最大トルクは62n・m(6.3kg・m)/4000rpm。
トランスミッションは5MTまたは3ATで、駆動方式はFRまたはパートタイム4WD(スイッチ式)。Vタイプがベースなため5MTの4WD仕様にはハイロー切り替えレバーが付く。
4WDではパジェロミニと同じイージーセレクト4WDを採用。走行中でも時速80km以下であればいつでもFRと4WDの切り替えを可能としている。
デフロック機構は無いもの、オプションで機械式LSDも装着可能となっていた。
6代目ミニキャブトラック U61TとU62Tとの違い
6代目ミニキャブトラック U61TとU62Tとの違いは駆動方式。U61Tは2駆でFRのミニキャブトラック。
U62TはU61Tベースの4WDモデル。U62Tの4WDは運転席でドライバーが任意に切り替えが可能なパートタイム4WD方式を採用し、シフトノブの下に設けられたスイッチでFRと4WDを切り替える(イージーセレクト4WD)。
インテリア(内装)
出典:三菱認定中古車
インパネ。黒トラ設定当初(2009年10月)とインパネのマイナーチェンジが行われた2009年12月以降ではデザインが異なる。写真のモデルは2009年12月以降の後期インパネ採用モデル。
後期インパネではドリンクホルダーがエアコン吹き出し口手前に配置される。
出典:三菱認定中古車
スピードメーター。こちらも前述のとおりデザインが2種類あり、これは後期タイプ。
出典:三菱認定中古車
5MTのシフトノブ。4WDモデルは副変速機も付く。
出典:三菱認定中古車
黒トラのシート。ベースモデルと同じタイプとなる。U61T/U62T型は同年代のセミキャブ軽トラの中では足元空間が最も広かった。
まとめ
出典:三菱認定中古車
6代目ミニキャブトラックの「黒トラ」は軽自動車では珍しいブラックマイカを専用色とし、光輝ヘッドライトにメッキグリルを標準装備したスタイリッシュな軽トラックである。
鮮やかな軽トラックというとWRブルーが眩しいスバルの限定モデル「サンバートラック WRブルーリミテッド」やホンダの「4代目アクティ特別仕様・スピリットカラースタイル」があるが、こちらはミニキャブトラック史上の中でも珍しいボディカラーで希少性の高いモデルである。
ダイハツでは10代目ハイゼットトラックにブラックマイカを設定するなど近年の軽トラックではそれまでの固定概念にとらわれないモデル展開を行なっているが「黒トラ」登場時ではおそらく異例のカラー設定だった。
メーカー曰く「漢の黒トラ」の名前に恥じないスタイリッシュな軽トラックである。
中古市場では残念ながらあまり売れなかったのか、6代目ミニキャブトラックの中でもほとんど出て来ない超希少モデル。ただしプレミアム価格は付いてないので中古車としては買いやすい。
その後6代目ミニキャブトラックの特別仕様車は専用ボディカラーに「シルキーシルバーメタリック」を採用した「銀トラ」として再登場する。
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