トッポは三菱のトールワゴン型軽自動車。トッポBJ(H42A/H47A型)の後継モデルで、「リミテッド」はその特別仕様車である。
概要
2008年9月登場の三菱・トッポ。既存のモデル(2代目eKワゴン)をベースにフェンダーから後ろを専用設定。室内空間を広くとった元祖トールワゴン的なモデルである。
今でこそダイハツ・タントやホンダ・N-BOXが売れ筋となったが、トッポの祖先である「ミニカトッポ」は10年以上も前に元祖トールワゴンとして誕生した。
1998年にはベースモデルのミニカから独立し、フルモデルチェンジで「トッポBJ」となるもののトールワゴン全盛期の2004年5月に異例の生産中止となっていた。奇しくも初代タントが大ヒットしていく時期だ。その生産終了から約4年後に、最終モデルのトッポBJの流用と2代目eKワゴンを組み合わせて作らられたのがこの「トッポ」である。
背景としてはタントが異例の大ヒットに加え、当時の自社のeKワゴンでは全高が1550mmに抑えられているため広さが欲しいユーザーに提供できる車種が無いこと、トッポBJの乗り換え時気が迫っていたり、当時のスズキやホンダの相次ぐフルモデルチェンジに対向するための新型車種投入とされている。
トッポでは上述のとおり2代目eKワゴンをベースに室内空間を専用設計。元祖の「ミニカトッポ」とまったく同じ手法でフェンダーから前はeKワゴン。
フェンダーから後ろの居住空間だけ別物とし新型車として登場させた。室内空間を専用設計(正確にはトッポBJを流用)したことにより室内高はベースモデルより100mm以上アップの1430mmを確保。
あえて全高を抑えていたベースの2代目eKワゴンよりも開放的な室内空間とした。その一方でヒッポポイントはeKワゴンゆずりの低めに設定することで車両重心を抑え、コーナーでもロールの少ない安定した走りを実現した。
外観はスポーティーなeKスポーツがベース。標準モデルとは異なる専用アクリルフロントグリルやeKスポーツ用のヘッドライト(プロジェクター式)を採用することでボディスタイルにあわせた箱型感と上級感を演出した。
内装では2代目eKスポーツ用のブラックインテリアを採用。インパネシフトとセンターパネルも流用し、センターパネルをシルバー塗装とすることで機能性とプレミアム感を与えた。
快適装備としては「UV&ヒートプロテクトガラス」、「消臭天井」、「脱臭機能付クリーンエアフィルター」を最廉価のSグレードを除いて標準装備。また、2代目eKワゴンゆずりの豊富な収納スペース(アッパーボックス、グローブボックス、アンダートレイ、サングラスホルダー)を設定し利便性を向上。
また、ラゲッジルームにもバックドアポケットやラゲッジサイドボックスなど設定し、使い勝手のよいラゲッジルームとした。
安全装備としては衝突安全強化ボディ(RISE)の採用やフロント3点シートベルト、離脱式衝撃吸収ステアリングコラム、ブレーキペダル後退抑制機構などを採用することにより、前面衝突時の乗員保護性能に配慮。
エンジンは2代目eKワゴンと同じ3G83型3気筒SOHCエンジンと同インタークーラー付きターボエンジンの2種類を設定し、4ATまたは3AT(Sグレード)を設定。「トッポ」は元祖ミニカトッポの時と同じように既存の部品と新設計のパーツを組み合わせ広い室内空間を確保したモデルとなっている。
トッポリミテッドの特徴と標準モデルとの違い
そのトッポに2009年8月。Mグレードをベースに電動格納式ドアミラー、パワーウィンドウ、マルチモードキーレスエントリーなど便利装備はそのままに装備を厳選し、お買い得した特別仕様車が設定された。それがこの「トッポ リミテッド」(※以下、リミテッド)である。
リミテッドでは上述の便利装備をそのままとする一方でコストカットのためオーディオと運転席バニティミラーなどを省略。これによりベースモデルよりも5万2000円安くし、FFモデルでは100万円を切る「99.8万円」とした特別仕様車となっている。
エクステリア
フロントデザイン。リミテッドでは特に専用パーツの装備はなく、外観はベースモデルに準ずる。リミテッドではMグレードがベースのため「UV&ヒートプロテクトガラス」を標準装備。
サイド。ここがすごいところで、ボンネットから前はeKスポーツ、そこから後ろはトッポBJそのままである。ただ、ベースのeKスポーツ自体がボンネットを広くとったデザインだったので、このトッポもそれと同じなっている。
この点が横から見たトッポBJとトッポの見分けるポイントである。なお、室内高はタントよりも高い1430mm(初代タント:1330mm、2代目タント:1355mm、3代目タント:1365mm)で天井方向に一回り広く感じる室内空間となる。
リミテッド仕様としては電動格納式ドアミラー、マルチモードキーレスエントリーはベースモデル同様に標準装備。
足元は13インチフルホイールキャップ。
リア。このあたりもベースと同じ。eKワゴンとは異なりトッポでは縦型のオーソドックスなコンビランプを採用している。ただ、このリアにかけてもベースのトッポBJとほぼ同じなので新鮮味はない。トッポBJ時代にあったリアガラスのオープン機構はトッポでは削除されている。
エンジン・機能
エンジンは3G83型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。最高出力は50ps(37kW)/6500rpm、最大トルクは6.3kg・m(62N・m)/4000rpm。
トランスミッションは4ATのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。この点はベースとなった2代目eKスポーツと同じものである。
先代のトッポBJ時代には4気筒ターボが存在したが、排ガスの関係で製造できなくなり、全グレードでeKスポーツと同じSOHCの3G8型3気筒エンジンが採用されている。ABSとEBDはベースモデルと同じく標準装備。
インテリア(内装)
インパネ。内装もベースと同じく外観は同じ。リミテッドでは価格を抑えるためオーディオレスとなり、運転席のバニティミラーも省略されている。
ルームランプ付近にはサングラスホルダー。
スピードメーター。自然吸気エンジンのためタコメーターは無し。
エアコンはマニュアル式。シフトノブはeKワゴンと同じくインパネシフト。
フロントシートはベンチシートタイプ。ベースモデルと同じ。
リアシート。スライド機構は非装備。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。フルフラットにはなるがスライド機構が無いためシートアレンジなどはできない。
まとめ
トッポの特別仕様車、リミテッドは自然吸気エンジンの中間グレードである「Mグレード」をベースに電動格納式ドアミラーやキーレスエントリーなど便利装備はそのままに、運転席バニティミラーやオーディオレス化によりFFモデルでベースよりも5万2千円安い「99.8万円」とした特別仕様車である。
この手の広い室内空間のモデルは自然吸気エンジン仕様でも新車価格が高い傾向があるが、トッポのリミテッドでは100万円を切る価格設定でお買い得感を出したものであった。
リミテッドが設定された背景にはリーマンショックによる世界的な大不況により、新車販売が落ち込んだことにある。そこへの起爆剤として100万円を切る衝撃プライスなトッポを設定し、販売促進を狙うものであった。
なお、同時期にはパジェロミニやトッポ、eKワゴン、アイの全4車種にリミテッドが設定され、いずれも100万円を切るお買い得仕様車となっていた。
トッポというクルマそのものはスライドドアがなかったり、リアシートのスライド機構がない、燃費もあまり良くなく自然吸気エンジンでは加速ももっさりなどライバルに劣る部分は多々あるがこの点が気にならない人であれば中古価格は比較的安いため、「安価で室内が広い足車」的なモデルとして面白い1台かもしれない。
ちなみにトッポは2013年9月27日に販売を終了。後継モデルとして日産と共同開発のeKスペース(日産版はデイズルークス)が2014年2月に登場することとなる。
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