デイズは日産のワゴン型軽自動車。三菱の3代目・eKワゴンの兄弟車である。本稿では初代・B21W系の2015年10月マイナーチェンジ(後期型)以降に設定された特別仕様車、「X Vセレクション」を扱う。
2013年6月登場のデイズ。それまでのオッティの実質的な後継モデルとなるこのモデルは、三菱との合弁会社であるNMKVによる共同開発&共同生産のモデルである。
それまで日産の軽自動車といえば細かなデフォルメを行うものの生産はOEM先に委託する形をとっていたが、デイズシリーズでは開発から生産まで携わるようになった。
デイズのエクステリアは立体的かつダイナミックなフォルムにスタイリッシュ感や親しみやすさを融合させたデザインとした。特にヘッドライトからアーチ状に流れるボディラインと、サイドビューに躍動感を与える2本ライン、特徴的な格子状グリルとフレンドリーな顔つきが特徴だ。
インテリアではセンタークラスターから弓なり形状としたインパネにタッチパネルを採用したピアノ調ブラックが映えるアイボリーインテリア、ホールド感を高めたフロントシートやふくらはぎのサポートを強めたリアシートなど長距離ドライブでの快適性をアップさせている。
標準モデルのスピードメーターはシンプルかつ視認性に優れた1眼式白色照明の大型メーターを採用。
エンジンは新開発の3気筒エンジンを採用。トランスミッションには副変速機付エクストロニックCVTを全グレードで採用し、アイドリングストップもグレード別に採用した。
パッケージングはロングホイールベースよる広い室内空間と前席にはシートスライドとシートリフター、チルトステアリングを標準装備。ルーフ上端を広げたフロントウインドウにより視認性を向上させた。
ボディは空力を考慮しバンパー形状を最適化。超高張力鋼板を4%、高張力鋼板を52%採用し安全性を確保しつつ軽量化している。
安全装備・快適装備としてはアラウンドビューモニターやタッチパネル式オートエアコンは上級グレード(Xグレード)に採用。
運転席&助手席エアバッグ、ABS(アンチロックブレーキシステム)+EBD(電子制御制動力配分システム)を全グレードに標準装備。ヒルスタートアシスト(アイドリングストップ付車、VDC装着車に標準装備)は一部グレードに標準装備とした。
また、スーパーUVカット断熱グリーンガラスも上級グレード(Xグレード)に標準装備とし、フロントドアガラスに紫外線を99%カットするスーパーUVカット断熱グリーンガラスも全グレードに標準装備した。
収納スペースとしは買い物フックや助手席シートアンダーボックス、カップホルダー、ドアポケットなど様々な収納スペースを配置。
後期型・初代デイズ(B21W)の改良点と前期型との違い、後期型3代目eKワゴンとの違い
そのデイズは2015年10月のマイナーチェンジでフロントデザインの変更を伴い後期型に。
後期型ではグリルやバンパー、リアコンビランプのデザインを刷新。シート表皮もブラウン色を組み合わせた新シート表皮とし、内外装をリフレッシュした。
メカニズムではセンサーを用いて、車速などの諸条件によりハイビームとロービームを自動で切り替える「ハイビームアシスト」(※ハイウェイスターグレードのみ)を軽乗用車で初採用。
さらにそれまではオプション設定となっていた「エマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、廉価グレードではオプション設定なっていた「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」をも全グレードに標準装備とし安全面も向上させたマイナーチェンジとなっていた。
デイズの燃費不正問題
後期型マイナーチェンジで商品力アップをはかったのもつかの間、約半年後の2016年4月に三菱の燃費不正改ざんが発覚。3代目eKワゴンとeKスペース、兄弟モデルのデイズ、デイズルークスも販売中止となった。
背景には、軽乗用車の燃費競争に出遅れていた三菱の技術力不足と現場の燃費史上主義、長年の体質などがあげられている。
特に技術力不足に関してはスズキやダイハツあたりがアルトエコやミライースでしのぎを削って低燃費技術を磨き上げていた時、三菱は2代目eKワゴンなど中身(メカニズム)は10年ちかく前に設計したものを内外装のみリファインして販売していた程度だった。
そこからいきなりスズキやダイハツに追いつくというのはさすがに無理があったものと思われる。
国土交通省による再測定によれば実際の燃費との乖離は最大で16%。その一方で排ガス値や保安基準などは国の基準を満たしてたため、ekシリーズ全車種の型式指定の取り消しは行わないことになった。三菱自動車は燃費の修正を行い、日産版のデイズも2016年7月に販売再開となった。
後期型デイズ 特別仕様車 X Vセレクションの特別装備と違い
この販売再開時に設定された特別仕様車が本稿で扱う「X Vセレクション」である。X Vセレクションは前期型のデイズにも設定された特別仕様車のバージョンアップ版となる。
後期型のX VセレクションではXグレードをベースに専用カラーの「オーシャンブルー」を設定。
スポーティなエボニーインテリアとシルバーフィッシャーの本革巻ステアリングホイール、14インチアルミホイールを標準装備とし、ノーマルモデルでありながらスタイリッシュな内外装とした特別仕様車となっている。
エクステリア(外装)
フロントデザイン。外装上の専用パーツは特になく、後期型と同じデザインとなる。前期型ではメッシュ状グリルにアクセントで下部にメッキラインを加えたベーシック感の強いグリルだったが、後期型では押しの強い大型クロームメッキグリルを装着。
さらにバンパーも新デザインで前期よりもデザインが洗練された。トータルでベーシックなモデルでありながら精悍な顔つきへと変化した。
サイド。上級グレードのXがベースのためドアミラーウインカーを標準装備。後期型では新たに赤外線を約70%カットするIRカットガラスを採用した。
ボディカラーはX Vセレクション専用として写真色の「オーシャンブルー」が追加されている。
足元はX Vセレクション仕様として14インチアルミホイールを標準装備。フロントにはスタビライザーも標準装備する。
リア。後期型ではコンビランプのデザインが一新され、ノーマルモデルでもブレーキランプにLEDを採用したシグネチャーランプとなった。
前期型ではクリアー部分が多かったので、リアから後期型と見分けるにはこのコンビランプのデザインがポイントだ。なお、他社と同じくエマージェンシーブレーキを標準装備する。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは3B20型直列3気筒DOHC自然吸気エンジンのみ。
自然吸気エンジンの最高出力は49ps(36kW)/6500rpm。
駆動方式により最大トルクが異なり、4WD仕様では最大トルクは6.0kg・m(59N・m)/5000rpm。2WDでは最大トルクが5.7kg・m(56N・m)/5500rpm。
トランスミッションはCVTのみで、駆動方式はFFまたは4WDとなる。
燃費技術としては「アイドリングストップ」、回生発電の「バッテリーアシストシステム」を標準装備とし、安全装備としては上述のとおり「エマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」、「ヒルスタートアシスト」を標準装備する。
インテリア(内装)
インパネ。X Vセレクションではカスタムモデルであるハイウェイスター用のブラックインテリアが与えられる。
エアコンパネルはベースと同じくオートエアコン式で、ステアリングはX Vセレクション仕様としてシルバーフィッシャーの本革巻ステアリングホイールが与えられる。
Xグレードベースのため、アラウンドビューモニターも標準装備。
スピードメーターはベースと同じでタコメーターが無いシンプルタイプ。
フロントシートはベンチシートタイプ。X Vセレクションではカスタムモデルと同じスエード調クロス&エボニー表皮のシートが与えられた。
リアシート。スライド機構付。
ラゲッジルーム。リアシートは左右分割式。
リアシートを倒した状態。
まとめ
後期型デイズのX Vセレクションは、ノーマルモデルでは最上級となるXグレードをベースに、スタイリッシュな特別装備と専用色のオーシャンブルーを与えたモデルである。
後期型のデイズは前期型よりも外装がスタイリッシュになっているが、X Vセレクションではそれを引き立てるボディカラーとアルミホイール、本革巻ステアリングホイールにブラックインテリアが与えられカスタムモデルまではいかないものの、ノーマルモデルでは最もスタイリッシュな仕様となっている。
ターボが不要でかつコテコテなカスタムモデルに抵抗のある人にとっては魅力的なグレードといえよう。
コメント