ミラ・ココアはダイハツのハッチバック型軽自動車。ミラジーノの後継モデルで、「ミラココア プラス」はそのカスタムモデルである。本稿では2012年4月マイナーチェンジ~2013年7月までを中期型とし、これを扱う。
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ダイハツ・ミラココアとは?
ミラ・ココアは、それまで存在したクラシック風のミラジーノの後継車種として2009年8月に誕生した。
ミラココアでは先代のミラジーノと比較するとレトロ感が薄くなり、よりとっつきやすいボディフォルムが特徴で、これにミラ・ジーノと同じような丸目ヘッドライトとベーシックなバンパーが組み合わされる。
ミラ・ジーノから続くこの手の軽は売れ筋のムーブに比べると広さでは勝てないものの、昔のミラやアルトの雰囲気が残るベーシックなハッチバックタイプの軽自動車で、室内空間よりもスタイリングに重点を置いた設計だ。
軽自動車市場ではかならずしも皆がムーブやワゴンR、タントやN-BOXを買うわけではないので、その需要(特に若い女性)を狙ったものである。
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デザインは「あたたかモダン」をコンセプトとし全体的にクラシカルな感じで、デザイン重視の軽自動車である。長方形を基調としながら角は丸く全体的に優しい感じに仕上がり、シンプルでありながら心に残るデザインを実現した。
先代(2代目ミラジーノ)では特有の丸みとバランスとの取れたハッチバックで個性的なボディスタイルだったが、このミラココアでは同年式のライバルとなる2代目アルトラパンに良く似たボディスタイルとなった。
また、インテリアも女性向けを意識し、水平基調のシンプル造形にインパネやドアトリムをらラウンドスクエアとすることで統一感を演出するとともに、親しみやすさや暖かさを表現。
ミラと名が付くものの、まったく異なる内装で上質感も追求した。
快適装備も
- 運転席シートリフター
- チルトステアリング
- アジャスタブルショルダーベルトアンカー
をセットにした「アジャスタブルパック」を全グレードに標準装備。小さな女性の体型に合わせやすい運転席とした。
エンジンはKF-VE型のツインカムDVVT3気筒DOHC自然吸気エンジンのみを採用。「インプットリダクション方式3軸ギヤトレーン構造」を採用したCVTと組み合わせることで優れた燃費性能を実現した。このあたりのメカニズムは同年代のムーヴコンテによく似ている。
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パッケージングは立体駐車場に入庫可能な全高1,530mmに、室内長は1930mm、室内幅は1,345mmと適度に広い空間を確保。リアウィンドウガラスや細いフロントピラーの採用で運転のしやすさにも配慮した設計とした。
快適装備としてはバックモニター内蔵ルームミラー、リバース連動ドアミラー、オートライト(※ミラココアプラスのみ)を一部グレードにオプション設定。
「運転席シートリフター&チルトステアリング&アジャスタブルショルダーベルトアンカー」をセットにしたアジャスタブルパックの採用や、助手席インパネアッパーボックス、ファブリックトノカバー(※ミラココアプラスのみ)など機能性にあふれる装備と多彩な収納スペースを設定した。
そのカスタムモデル的なグレードとして設定されたのが本稿で扱う「ミラココア プラス」である。
プラスではその名前の通りミラココアに上級な装備を追加したグレードで、ノーマルに対し外装ではフォグランプとターンランプ付きドアミラー。
専用デザインのフルホイールキャップに加え内装ではココアエンブレム付きの上質なスエード調シート表皮(イエローベージュカラーでデオドラント機能付き)やファブリックトノカバーの採用でインパネと統一感あるデザインとし、プラスアルファで上質感をアップさせたグレードとなっている。
中期ミラココアプラスのグレード構成 X、G、プラスXスペシャルコーデの違い、Lの廃止など
中期型ミラココアプラスのグレード構成はミドルグレード「ココアプラスX」と上級「ココアプラスG」の2種類。
前期には4AT採用廉価グレードの「ココアプラスL」が存在したが、2010年5月の一部仕様でカタログ落ち。以後はXとGの2種類となった。
特別仕様車にはボディカラーに2トーンカラーや専用シート表皮を採用した「ココアXスペシャルコーデ」が設定されていた。
標準仕様の「ミラココア」についてはこちらから。

ココアプラスX
ココアプラスXはエントリーグレード。
外装はフォグランプ、バンパーコーナー、メッキグリル、デザインホイールキャップ、ルーフレール、LEDクリアーテールランプを標準装備。
内装でもオートエアコンにタコメーター付きの3眼式メーター、エンジンスタートがプッシュスタートボタン式となる。トランスミッションもCVTで、EBD付きABSが標準となる。
ココアプラスG
ココアプラスGは上級グレード。プラスXの装備に加えステアリングが本革巻きステアリングに変更。
便利装備としてバックモニター内蔵ルームミラー(自動防眩機能付)、花粉除去機能付きプラズマクラスター搭載エアコン、4スピーカーシステムを標準装備する。
特別仕様車 プラスXスペシャルコーデ
2013年4月設定の特別仕様車。それまでのミラココアになかったツートンカラーを初めて採用し、上質な内外装で魅力を高めたモデル。
スペシャルコーデはココアプラスのXをベースに
- ツートンフルホイールキャップ
- カラードアアウターハンドル
- 2トーンカラーのボディカラー(オプション設定)
を与え、インテリアでは
- ブラウンカラーの専用シート表皮
- ココアエンブレム付き本革巻ステアリングホイール
で内外装の個性を強くした特別仕様車となっている。

中期型・ミラココア プラスとは?改良点と前期との違い
そして2012年4月のマイナーチェンジでフロントデザインの小変更を伴い中期型となった。
中期型ではフロントグリルとバンパーコーナー、フォグランプをメッキ加飾し精悍さをアップさせたほか、
リアコンビランプをストップランプにLEDを用いたクリアータイプに変更した。
また、内装では最上級のGグレードでバックモニター付きナビと花粉除去機能付きプラズマクラスター搭載エアコンを標準装備とした。
また、運転時に様々な状況を確認できるマルチインフォメーションディスプレイを全車標準装備とした。さらにボディカラーは新色の「ムースピンクパール」(写真色)を追加設定。
エンジンは第2世代KF型エンジンの採用に加え、ミライースの「イーステクノロジー」からエコアイドルとエコ発電制御などを取り入れたことでFFモデルで26.0km/L(JC08)を達成。
中期型ミラココアプラスは、前期型よりも外装とメカニズムで魅力をアップさせたマイナーチェンジとなっている。
エクステリア(外装)
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フロントデザイン。中期型では グリル、バンパーコーナー、フォグランプをメッキで加飾。上質感を向上させた。
前期型ではノーマルと比較してもフォグランプが追加されただけの違いだったので、差別化がかなりなされた。
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サイド。このあたりは特に変更点はない。
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前期と同じくLEDターンランプ付きドアミラーとシルバールーフレールを全グレードで標準装備。ただし、この装備により全高がノーマルよりも30mm高い1560mmとなるため立体駐車場にギリギリ入らない場合が多くなる点に注意。
足元はココアロゴ入りの14インチスチールホイール+デザインホイールキャップとなる。
セキュリティーアラームは引き続きプラスの全グレードで標準装備。
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リア。後期型ではコンビランプがクリアー化。インナーメッキを用いたクリスタルタイプでリアビューのオシャレ感がアップ。
ハイマウントストップランプもLEDに変更され、バックドア左側にはエコアイドルを適用したことでエンブレムが追加されている。このあたりは前期か中期以降を見分けるポイント。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンは改良型となる第2世代KFエンジン。前期型の2011年6月マイナーチェンジで第1世代KF型エンジンからこのエンジンに置換された。
最高出力は52ps(38kW)/6800rpm、最大トルクは6.1kg・m(60N・m)/5200rpmとなる。
加えて後期型ではミライースの「イーステクノロジー」からエコアイドルとエコ発電制御などを取り入れたことで大幅に燃費がアップ。FFモデルで26.0km/L(JC08)を達成した。
デビュー当初は10.5モードではあるがFFモデルで19.4km/Lだったことを考えると、少なくとも3割以上も向上させたことになる。
その一方で、スマートアシストなどの自動ブレーキはムーヴコンテ同様に設定がなく、デザインが良いだけに少し残念なポイントだ。
安全装備として運転席&助手席エアバッグとEBD付きABSを全グレードに標準装備する。
ミラココア プラス・L675SとL685Sとの違い
ミラココア プラスのL675SとL685Sとの違いは駆動方式。
FFモデルがL675Sで、L685SはFFベースの4WDとなる。ただし、ジムニーなどのクロカン4WDとは異なりビスカスカップリングを用いたオンデマンド式の4WDとなっている。
そのため常時4WDではなく、前輪と後輪の回転差が生じたときのみ4WDとなる生活四躯仕様となる。
ミラココアは燃費が悪い? 燃費が良くない?
ミラココアの口コミや検索キーワードで「燃費が悪い」、「良くない」という話がある。
実はミラココアの前期モデルの廉価グレード(ココアL、ココアプラスL)では4ATが採用されており、他のCVT搭載グレードと比較して特に街乗りでは燃費が悪い傾向にある。

さらに部品が増え車重や走行抵抗が増える4WDモデルではその傾向が強く、リッター10km付近との報告ももある。
中期モデル以降では4ATが廃止され、全グレードでCVTとなったため燃費は悪くないが、ミラココアで燃費が気になる人は安価な前期モデルのミラココアLとミラココアプラスLを購入する際は注意が必要だ。
また、過走行の固体は点火系(点火プラグやイグニッションコイル)が劣化し燃費悪化を招いている場合もある。CVTモデルでも燃費が極端に悪い場合で走行距離が10万キロを越えている場合は点火系をリフレッシュしてみると燃費が改善するかもしれない。
軽自動車の点火プラグは高回転を多用しがちで負荷がかかりやすく、ノーマルタイプなら1万キロ、長寿命タイプでも5万キロぐらいが限界なので、普通車の半分ぐらいしか持たない。
知らずに使い続けているユーザーも多いためこのあたりを疑って見る価値はある。
インテリア(内装)
インパネ。中期型では前期にあった廉価グレードの「プラスL」が廃止され、XグレードとGグレードのみとなった。
このためエアコンは全グレードでオートエアコン式。加えて中期型では最上級のGグレードにバックモニター付きナビと花粉除去機能付きプラズマクラスター搭載エアコンを標準装備とし、快適性と利便性を向上させた。
もちろん、女性に嬉しいバニティミラーとバニティランプも標準装備。
スピードメーター。中期型では廉価グレードのLが廃止されたことにより全グレードでタコメーター付きの3眼タイプに統一された。またエンジンが第2世代KF型エンジンに置換されたため、タコメーターのレッドゾーンが少し低くなっている。
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フロントシートはベンチシートタイプ。引き続き前期と同じプラス用の専用シートで、デオドラント機能付の上質なスエード調シート表皮となっている。
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リアシート。スライド機構は非装備で2012年4月マイナーチェンジ時に左右分割式から一体可倒式に変更されている。
また、前期ではXグレードでも後部座席のスピーカーを備える4スピーカー仕様だったが、中期以降はXグレードはフロント2スピーカーのみに変更となった。
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ラゲッジルーム。リアシートは左右独立可倒式。
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リアシートを倒した状態。
まとめ
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ミラココアの中期型はメッキパーツとクリアーコンビランプにより精悍さやオシャレ感、上質感がアップ。さらに改良型エンジンとミライーステクノロジーの適用でデビュー当初の前期型よりも燃費が飛躍的にアップしたモデルである。
中期型ではノーマルミラココアよりも差別化が明確になされ、かつ苦手だった燃費性能も改善したため、パット見は地味な改良に見えるが実は大幅な改良となっている。
その一方で同年代のムーヴやタントには設定されていた自動ブレーキ(スマートアシスト)が未設定となるなど、アップデートが据え置かれた部分もある。
このため軽乗用車でも自動ブレーキが必要な人にはちょっと不向きなのだが、それを補うだけの優れたデザインはムーヴやタントには無い部分なため十分魅力は高いモデルである。
中古市場では前期型のミラココアプラスは比較的安価なのだが、この中期型以降ではデザインや燃費性能、高年式という点からまだまだ高値になりやすく手頃な足車としては手が出しづらいモデルとなっている。
だだし、上述のようにそれを補うだけのデザインは素晴らしいものがあるので、気に入れば末永く愛せる軽乗用車である。この手のデザインを選ぶ人は絶対数的に居るのでハマればドンピシャで好きになるはず。加えて前期型に多発する初期型KF型エンジンの不具合がこの代から改善されるため、前期より故障の心配も少ないのがポイント。
10年落ちでミラココア プラスは大丈夫?価格は比較的買いやすい・安価なモデルに
中期型のミラココアは登場から10年近く経過し、走行距離の割りに価格も手頃なタマが増えてきた。
10万キロ以上のモデルは格安でかなり買いやすいが、10万キロ付近で交換必要な消耗品の交換が必要になるので、整備済みの場合はお買い得だが、これから整備が必要な場合はその分も考慮して購入した方が良い。
4万~6万キロぐらいの中古車だと総支払価格が30万後半~60万円ぐらいで販売されており、かなり買いやすい。距離的にも10万キロまでかなり距離があり、消耗品の交換もほとんど必要が無いため過走行モデルよりは安心だ。
特に中期モデル以降はKF型エンジンの持病が改善されオイルトラブルが軽減する点もポイント。ウォーターポンプが弱いなど持病があるものの、前期モデルよりはマシになりプラスして前期には無いスタイリッシュなクリアーテールランプが採用されたりと見た目も良くなるので、予算に余裕がある場合はミラココアの中期型がオススメ。
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