ルークスは日産のトールワゴン型軽自動車。本稿では初代スズキ・パレットのOEM供給車を扱う。
日産 初代ルークスとは?
2009年12月に登場した日産・ルークス。
日産の軽自動車としてはモコ(スズキ・MRワゴン)、クリッパーリオ(三菱・タウンボックス)、オッティ(三菱・eKワゴン)、ピノ(スズキ・アルト)に次ぐ第5段の軽自動車で、日産初となるトールワゴン型の軽自動車となった。
初代モデルのベースは背の高いスズキ・パレット(現・スペーシア)のOEMで、タントのような広大な室内空間と両側スライドドアなど高い実用性が特徴の軽自動車である。
ルークスは日産の軽乗用車としていは初の常識を覆す広い室内空間と、存在感ある洗練されたデザインが特徴の軽自動車として登場した。
エクステリアでは安定感ある横長フロントグリルで上質感を演出。専用ボディカラーのブルームピンク、アクアベールブルーを含む全6色を設定。
インテリアではファインビジョンメーターを採用し、メッキやピアノブラック調のフィニッシャーをあしらって高品質な室内空間を演出。ノーマルモデルではベージュインテリアを基調に、シート表皮はやわらかな光沢のあるファブリック素材とした。
室内空間は室内高1,365mm、室内長2,085mmを確保し、大人4人がゆったりとすごせる快適空間を実現。後部座席は両側スライドドアを全グレードの標準装備。
パワースライドドアもインテリジェントキーからボタン操作でオート開閉(電動パワースライドドア)するようにした(ノーマルグレードではGグレーで助手席側に標準装備)。
快適装備としては保冷機能付き助手席アッパーボックススを全グレードに標準装備。
安全装備としては運転席・助手席SRSエアバッグシステムを全車に標準装備。運転席・助手席SRSサイドエアバッグシステムはEグレードを除いて全車に標準装備とした。
エンジンはタイミングチェーン式のオールアルミ製K6A型エンジンを全グレードに採用。瞬間燃費や平均燃費を表示するスピードメーターを全グレードに採用した。
変速機は副変速機を内蔵したCVTを全グレードに採用し、燃費と加速性能を高めた。
初代ルークス(ML21S)とスズキ・パレット(MK21S)との違い
ルークスは日産にOEM供給するにあたりフロントデザインをデフォルメし、スズキ版とは異なる専用グリルと専用バンパーが与えられ差別化がなされた。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2013/10/ml21s_-5.jpg)
初代ルークスのフロント
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2013/10/mk21s_.jpg)
スズキ・パレットのフロント
このほか日産エンブレムやルークスエンブレムが専用品となる。これ以外はベースモデルと同じだが、若干雰囲気が異なるのが特徴だ。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2021/08/20150329141536cbb.jpg)
また、スズキ版同様にベーシックモデルとカスタムモデルの2モデル構成で、カスタムのルークス・ハイウェイスターでも専用デザインが与えられ差別化されるなど日産らしさを強調したOEMモデルとなっている。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2013/10/ml21s-4-160x90.jpg)
一方でスズキ版のパレットには標準モデルでもターボ仕様があるのに対し、日産のルークスではカスタムモデルのハイウェイスターのみの設定で、ベーシックな標準モデルには自然吸気エンジンのみの設定となっていた。
なお、自然吸気エンジンのグレード構成も少し異なり、ルークスの「E」グレードはスズキ・パレットの廉価グレード「G」に相当する。
2012年6月の一部改良ではXグレードが追加され、Gグレードを入れ替えで廃止。上級グレードはパレットと同じグレード名となった。
初代ルークス(ML21S)のグレード 違い
初代ルークスグレード展開はエントリー「E」、ミドルグレード「G」、上級グレード「X」の3種類。
OEM元のパレットには標準タイプにもターボ車の設定があったが、日産・ルークスにはターボ車の設定がなく、自然吸気エンジンのみとなる。
また、モデル後半で追加となったXグレードには2WDの設定がなく、4WDのみだった。
なお、カスタムモデルの「初代ルークス ハイウェイスター」にはターボ車の設定があった。そのため初代ルークスでターボ付きが欲しい場合は、ハイウェイスターを選択すること。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2013/10/ml21s-4-160x90.jpg)
E
初代ルークスのエントリーグレード。パレットの「G」グレードに相当。装備を簡略化し価格を抑えた安いグレード。4ATのみの設定。
エクステリアでは13インチスチールホイール+ホイールキャップに手動スライドドア。インテリアでもマニュアル式エアコンと一番簡素な内容。キーレスやパワーウィンドウは標準装備する。
G
初代ルークスの上級グレード。上級グレードではCVTの採用で燃費が良くなる。
Eグレードで非装備だったフルオートエアコン、キーレスプッシュエンジンスタート、後席後側にパワースライドドアとスライドドアイージークローザーを標準装備する。
2012年6月一部改良で廃止。Xグレードに移行した。
X
初代ルークスの上級グレード。2012年6月の一部改良以降に設定された、Gグレードから置き換えの新グレード。
Xグレードではタイヤサイズが14インチ化され、これにホイールキャップを標準装備する。トランスミッションにはCVTを採用。
このほかEグレードと同じくフルオートエアコン、キーレスプッシュエンジンスタート、後席後側にパワースライドドアとスライドドアイージークローザーを標準装備する。
4WDのみの設定となり、パレット・Xグレードの2WDに相当するモデルは日産版では非設定。
Xアイドリングストップ
Xグレードにアイドリングストップ機構とヒルスタートアシストを搭載したモデル。
Xグレードよりもカタログ燃費が向上した。
初代ルークスのエクステリア(外装)
フロントデザイン。ヘッドライトこそ同じだがフロントグリルとバンパーはルークス専用品となっている。
スズキ版ではグリルはオーソドックスに長方形の開口部+メッキラインとなっていたが日産版では3段の階段状と1本のカラーグリルへと変更した。
これに開口部の小さなバンパーと組み合わせることでちょっとだけ上品に。かつ落ち着いたデザインとした。
スズキ版ではアクセントとなるメッキラインがあったが日産版ではそれが一切なく印象がかなり異なっている。
サイドから。ボンネットを極端に切り詰め全高を広く取るこの手のトールワゴンによく見られるボディスタイルで箱感が非常に強い。
ルークスでは両側スライドドアを標準装備とし、Xグレード(Gグレード)では助手席側がパワースライドドア化、両側イージークローザーも標準装備する。Eグレードは手動スライドドア。
なお、2代目タント以降で採用された「センターピーラーレス」とはなっていない。
下級グレードのEグレードとGグレードでは13インチフルホイールキャップ、
ミドルのXグレード以上では14インチのフルホイールキャップとなる。
リア周り。テールユニットがコスト対策なのかキラキラタイプではない。
エンジン・機能装備・安全装備など
エンジンはK6A型直列3気筒自然吸気エンジンのみ。スズキ版にはあとからターボモデルが追加されたが、日産版には最後までなかった。
最高出力は54ps(40kW)/6500rpm、最大トルクは6.4kg・m(63N・m)/3500rpm。
ターボはカスタムモデルのハイウェイスターに設定されている。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2013/10/ml21s-4-160x90.jpg)
ミッションは副変速機付きCVT。駆動方式はFFか4WD。安全装備としてSRSエアバッグとABSを全グレードに標準装備する。
2012年6月マイナーチェンジではベースモデル同様にアイドリングストップ仕様車(グレード名:Xアイドリングストップ)が追加された。
初代ルークスのインテリア(内装)
インパネ。外装は日産仕様の専用パーツが付くが内装は基本的同じでステアリングのオーナメントが日産マークになる程度。
この世代からスズキの軽自動車はデザインが近代化し、質感こそは安っぽいものの、デザインそのものはそこまで悪くはなくなった。
スピードメーター。タコメーター無しの1眼タイプ。自発光式メーターを採用し文字盤と組み合わせてかなり見やすいメーターとなっている。シフトインジケータは下部の液晶ディスプレイに表示する。
エアコンはEグレードがマニュアル式エアコン。XやGではフルオートエアコンとなる。
フロントシートはベンチシートタイプ。シート周りもパレットと共通品となる。
リアシート。スライド機構付き。
ラゲッジルーム。
リアシートを倒した状態。リアシートをスライドさせることでフルフラットも可能だ。
初代ルークスのまとめ
日産のルークスはスズキ・パレットのOEMで専用デフォルメが行われたモデルである。
外観は日産らしさを強調すべくスズキ版よりも上品なっており、MRワゴンとモコの関係のようにルークスの方がベースよりも若干デザインがよくなっている。
ただし、ベースのパレット同様に大きな切り込みのヘッドライトなど個性の強すぎる部分は健在で、ベーシックな顔つきのタントと比較するとあまり万人受けしずらいモデルでもある。
これならばカスタムモデルのルークス・ハイウェイスター(パレットSWのOEM)の方を個人的にはオススメしたいところだ。
初代ルークスの中古車は安価で買いやすい価格帯
中古市場では年数経過もあり以前よりは中古価格がかなり下落し買いやすいモデルとなった。
独特なエクステリアが万人受けしずらく、ターボ仕様もないことや、最新モデルに比べると燃費性能や自動ブレーキなどでも劣るためこのあたりがネックだが、価格面ではアドバンテージがあるため、とにかく安い予算でスーパーハイトワゴンが欲しい人は検討する価値がある。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2013/05/mk32S_first-8-160x90.webp)
後継モデルはスズキから離れて三菱との共同開発・生産モデルへ
なお、パレットが2代目(スペーシア)へとバトンタッチし、生産終了したのを機に日産からも販売を終了した。その後は三菱との合弁で作られた後継モデル・デイズルークスが登場している。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2014/08/MK21S_frst-6-160x90.jpg)
さらにそのデイズルークスも2020年3月にはフルモデルチェンジとなり、3代目へバトンタッチ。三菱との合弁会社による2世代目モデルともあってデキはかなりよく、特に日産版はそこそこ売れている。
![](https://keicars-maniac.com/wp-content/uploads/2021/08/20210503193507ddf-160x90.webp)
コメント